デスクワークの健康問題と労働生産性低下

この記事のポイント

  • 約9割のデスクワーカーが勤務中に不調を感じ、生産性の低下を自覚している現状がわかる
  • 長時間の座り仕事が肩こりや腰痛だけでなく、生活習慣病のリスクを高める理由が学べる
  • 厚生労働省のガイドラインに基づいた、明日から実践できる具体的な対策が手に入る
  • 従業員の健康を守ることが、企業全体の生産性向上に直結することが理解できる

デスクワークがもたらす健康リスク

座り過ぎによる健康被害が国内外で報告されており、
肩こり・腰痛・肥満・生活習慣病などのリスクが増加。
これらの不調は集中力や活力の低下を招き、
労働生産性にも悪影響を与えています。

企業が注目すべき背景

労働人口の減少と従業員の高齢化が進む中、
健康推進は持続可能な経営の鍵となっています。
オフィス環境での健康対策は、
従業員のパフォーマンス向上に直結します。

参考調査・執筆者

本ページは、
コクヨ株式会社による「日本のオフィスワーカー6,178名・1,000名対象の調査」
を参考に作成しています。

執筆者:
ウェルネスドア合同会社 代表:狩野 学

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注目すべき点

  • 約8割のオフィスワーカーが姿勢の悪さを自覚
  • 約9割が勤務中の不調を自覚
  • 不調を感じる人の約9割が生産性の低下を実感

1日あたりの平均デスクワーク時間

区分 3h未満 3〜4h 4〜6h 6〜8h 8h以上
全体(6,178名) 9% 11% 25% 38% 18%
男性(4,219名) 10% 13% 25% 35% 18%
女性(1,959名) 6% 8% 24% 24% 17%

不調の原因(複数回答)

原因 全体 男性 女性
同じ姿勢での長時間作業 60% 55% 70%
パソコンの長時間使用 49% 49% 49%
運動不足 41% 38% 48%
姿勢が悪い 47% 44% 53%
睡眠不足 33% 33% 34%
加齢 30% 31% 28%

姿勢の悪さを自覚するオフィスワーカー

約8割のオフィスワーカーが、
「仕事中に座っているときの姿勢が悪い」と自覚しています。
長時間の座位姿勢が、肩こり・腰痛・集中力低下などの
不調につながる可能性があります。

不調が仕事に与える影響

デスクワークによる身体の不調を感じている人の約9割が、
「仕事のパフォーマンスが下がっている」と回答。
生産性の低下は、企業にとっても大きな課題です。

オフィスワーカーの約 8 割は「仕事中に座っているときの姿勢が悪い」と自覚。
デスクワークが与える不調が仕事に影響してるか?


勤務中に不調を感じますか?

オフィスワーク(デスクワーク)中に不調を感じる人は86%
感じない人は14%という結果が出ています。
多くの人が、座り仕事による身体の不調を自覚しています。

勤務中に感じる不調の種類

  • 肩こり
  • 首コリ
  • 眼精疲労
  • 腰痛
  • 眠気
  • 疲労感・だるさ
  • 背中の張り
  • 頭痛
  • 冷え
  • むくみ
オフィスワーク(デスクワーク)中に不調を感じますか?感じる86%・感じない14%
勤務中の不調感の種類


デスクワークがもたらす主な悪影響

  • 集中力の低下
  • 作業効率の低下
  • 意欲の低下
  • 集中力が途切れやすい
  • イライラしやすい・落ち着きがなくなる

仕事の質への影響

  • 理解力の低下
  • 発想力の低下
  • アウトプットの質の低下

これらの要因は、労働生産性の低下を招く最大の課題として、企業にとって深刻な影響を与えています。

デスクワークが与える仕事への悪影響

勤務時間中の健康意識

約9割のオフィスワーカーが、
「勤務時間中に健康や体調管理を意識していない」と回答。
運動を行っていない理由として、
「仕事に集中したい」「つい忘れてしまう」が上位に挙げられています。

勤務時間を活用したいという声

約9割のオフィスワーカーが、
「健康や体調管理のために勤務時間中を活用したい」と回答。
日常的に意識している時間帯やシーンとしては、
通勤時・昼休み・退勤後などが挙げられています。

勤務時間中に行っている健康管理

  • ストレッチや軽い体操
  • 姿勢を意識した座り方
  • こまめな水分補給
  • 休憩時間の活用
  • 目の疲れを防ぐための画面休憩
日常的に健康や体調管理を意識している時間帯やシーンは?
勤務時間中に健康や体調管理の為に行っている事


勤務時間中に健康対策を行わない理由

  • 仕事に集中したいから
  • つい忘れてしまう
  • 時間が取れない
  • 周囲の目が気になる
  • 何をすれば良いか分からない

勤務時間中を活用したいか?

約9割のオフィスワーカーが、
「健康や体調管理のために勤務時間中を活用したい」と回答。
ストレッチ・姿勢改善・水分補給など、
簡単にできる対策への関心が高まっています。

勤務時間中に健康対策を行わない理由は?
健康や体調管理の為に勤務時間を活用したい


デスクワークが労働生産性を低下させる原因と課題、その対策について

働き方の多様化により、デスクワークは多くの職場で主要な業務形態となっています。
しかし、長時間の座位作業は健康に悪影響を及ぼし、結果として労働生産性を低下させる要因となることが、複数の研究や公的機関の報告から明らかになっています。
本記事では、科学的根拠に基づき、原因・課題・対策を解説します。

デスクワークによる健康リスク

  • 長時間座位:心血管疾患・糖尿病・脂質異常症・がん・死亡リスクの上昇
  • 身体的不調:肩こり・腰痛・疲労感の蓄積
  • メンタル不調:集中力低下・気分の落ち込み・プレゼンティーズムの増加

これらの要因は、欠勤(アブセンティーズム)や生産性の低下に直結します。

厚生労働省のガイドラインに基づく対策

  • 作業環境管理:照度調整(画面500ルクス以下、書類300ルクス以上)、椅子と机の高さ調整
  • 作業時間管理:1時間以内の連続作業、10〜15分の休憩、1時間内に小休止を1〜2回
  • 健康管理:定期的な健康診断の実施

座位行動の中断と身体活動の促進

30分に1回程度立ち上がって歩く・ストレッチをするなど、座位行動の中断が健康リスクの低減に有効です。
昇降式デスクの導入や、休憩・運動を促す社内文化の醸成も効果的です。

まとめ

デスクワークは現代の働き方に不可欠ですが、健康リスクと生産性低下の課題を正しく認識し、環境・時間・行動の3つの視点から対策を講じることが重要です。
従業員の健康を守ることは、企業全体の生産性向上にもつながります。


デスクワークと生産性 理解度クイズ

質問文がここに表示されます。


座位時間と疾患リスクの関係

長時間座っていることは、
代謝機能や血管の健康に悪影響を与えるとされています。

特に以下のような変化が報告されています:

  • 中性脂肪レベルの上昇
  • 善玉コレステロールの低下
  • インスリン感受性の低下(血糖値を下げるホルモンが効きづらくなる)

これらは、2型糖尿病や心血管疾患のリスクを高める要因となります。

職業による健康リスクの違い

活発な作業に従事する職業の人は、
デスクワーカーに比べて、
心血管疾患を含む全体的な健康リスクが低い傾向があります。

座位時間が長いほど、死亡リスクが高まるという研究も報告されています。

詳しくは → 「テレワークの健康課題」 をご参照ください。

テレワークと健康課題

歩数と死亡率の関係

1日の平均歩数が少ないほど、死亡率は上昇傾向にあります。
1万歩以降は死亡率に有意差は確認されていません

比較例:

  • 4,000歩 vs 8,000歩:心血管疾患死亡率 約50%差
  • 4,000歩 vs 8,000歩:がん死亡率 約30%差

座位時間がもたらす健康リスク

通勤がなくなったことで、デスクワーカーの座位時間が増加傾向にあります。

長時間座ることで代謝機能が低下し、以下のような変化が起こります:

  • 中性脂肪の上昇
  • 善玉コレステロールの低下
  • インスリン感受性の低下(血糖値調整が困難に)

詳しくは → 「1日何歩が良い?歩行と健康の相関関係」 をご参照ください。

歩数別の健康リスク比較表

歩数 心血管疾患死亡率 がん死亡率 全体の死亡率傾向
4,000歩 基準値 基準値 高い
8,000歩 約50%低下 約30%低下 低下傾向
10,000歩以上 有意差なし 有意差なし 安定
1日の平均歩行数と健康

2020年以降の相談傾向

コロナ禍以降、当社への健康相談には以下の傾向があります:

  • 健康診断結果で「体脂肪率」が増加した従業員が増加
  • テレワークによる「運動不足」への不安の声が増加
  • 社内アンケートで「運動・食生活・睡眠」に関する研修ニーズが高まっている

対応プログラムのご紹介

健康運動指導士監修の「オフィス健康体操&エクササイズ」プログラムを提供しています。
テレワーク環境でも実施可能な内容で、従業員の健康維持と集中力向上をサポートします。


健康経営コラム|デスクワーク対策 第2弾

社員の「座りっぱなし」は変えられる。
デスクワークの生産性を守る
“アクティブブレイク設計”入門

前回は、デスクワークによる肩こり・腰痛・眠気・集中力低下が、個人の不調にとどまらず、企業の生産性にも影響することを整理しました。
今回はその続編として、「では職場で何をどう実装すればよいのか?」に答えます。
高価な設備投資だけに頼らず、立つ・歩く・軽く動く時間をどう設計するかという視点から、現場で取り入れやすい考え方を整理します。

POINT 1
問題は「座りすぎ」だけではない
1日の総座位時間だけでなく、長く座り続ける“座りっぱなし”もリスクです。
POINT 2
小さな中断でも価値がある
立つ、歩く、伸ばす。短いブレイクでも、身体と集中力のリセットにつながります。
POINT 3
続かない原因は“設計不足”
個人の意思だけに任せるのではなく、職場の流れに組み込むことが定着の鍵です。
この記事の目次
  1. 第1弾の続きとして、なぜ今“アクティブブレイク”なのか
  2. 「座りすぎ」と「座りっぱなし」を分けて考える
  3. なぜ、こまめな中断が重要なのか
  4. 職場で導入しやすいアクティブブレイク5選
  5. 続かない理由は“意識の低さ”ではなく“設計不足”
  6. 低コストで始める職場改善の考え方
  7. まずは1日10分から始める実践プラン

1.第1弾の続きとして、なぜ今“アクティブブレイク”なのか

前回の記事では、デスクワークによる肩こり・腰痛・眠気・だるさ・集中力低下などが、従業員の不調にとどまらず、労働生産性の低下にもつながることを整理しました。
ただ、ここで多くの担当者が次に悩むのが、「それは分かったけれど、現場で何をすればよいのか」という点です。

デスクワーク対策というと、昇降デスクや椅子の入れ替えなど、設備投資のイメージを持たれがちです。もちろん環境改善は重要ですが、実際にはそれだけが答えではありません。
最近は、勤務中に長く座り続ける時間をいかに中断するか、つまり「座りっぱなしを減らす設計」が重要だと考えられるようになっています。

考え方の転換
「運動の時間を増やす」だけでなく、仕事中の“座りっぱなし”をこまめに切ることも、職場の健康施策として重要です。

2.「座りすぎ」と「座りっぱなし」を分けて考える

デスクワーク対策でまず整理したいのは、「座りすぎ」と「座りっぱなし」は似ているようで違うということです。

座りすぎ
1日の総座位時間が長い状態です。
仕事・通勤・会議・自宅でのスマホやPC利用などを合計すると、気づかないうちに長時間になりやすいのが特徴です。
座りっぱなし
まとまった時間、連続して座り続ける状態です。
たとえ1日の運動量が一定あっても、長く座り続けること自体がリスクになると考えられています。

つまり、健康施策としては、「1日の総座位時間を減らす工夫」と、「長く続く座位を中断する工夫」の両方が必要です。
デスクワーク中心の職場では、まず後者、つまりこまめな中断から始めるほうが実装しやすいケースが少なくありません。

3.なぜ、こまめな中断が重要なのか

厚生労働省の情報機器作業に関するガイドラインでは、情報機器作業を行う場合、1時間を超えない範囲で作業サイクルを区切り、その間に10〜15分の作業休止を設けること、さらに作業の途中にも1〜2回の小休止を入れることが示されています。

一方、座位行動に関する考え方では、長い時間座り続けること自体が健康リスクになり得るため、30分ごとなどのこまめなブレイクも勧められています。
厳密に「何分ごとでなければならない」と硬く考えるよりも、“長く固定される状態を切る”ことが重要だと捉えると実践しやすくなります。

職場で押さえたい基本
  • 1時間を超えない範囲で作業を区切る
  • サイクルの間に休止を入れる
  • 途中にも短い小休止を挟む
  • 立つ・歩く・伸ばすなど、姿勢を変えるきっかけをつくる

4.職場で導入しやすいアクティブブレイク5選

「うちの職場では忙しくて無理そう」と感じる場合も、最初から大がかりに考える必要はありません。
ポイントは、“運動時間を増やす”より“今ある業務の流れに、立つ・歩く・伸ばすを差し込む”ことです。

① 30〜60分ごとの立ち上がりリマインド
PC通知、Teamsの定時投稿、管理職の声かけなどで“立つきっかけ”を固定します。
② 昼休み後の1〜3分ストレッチ
昼食後や午後の始業前に、首・肩・背中・脚を軽く動かすだけでも、再集中しやすくなります。
③ 短い打ち合わせを立って行う
5〜10分程度の確認ミーティングや朝会は、立ったまま行うだけでも座位時間の中断になります。
④ 歩く理由を“業務の中”につくる
コピー、給水、声かけ、書類確認などを少し歩いて行うだけでも、座位時間の置き換えになります。
⑤ 午前・午後の“3分プログラム”を固定化する
片脚立ち、スクワット、ストレッチ、深呼吸などを組み合わせ、1日2回の短時間プログラムとして設計します。
実装のコツ
個人任せにせず、時間・場面・声かけ・流れを決めると定着しやすくなります。
たとえば「毎日15時に1分だけ肩・背中を動かす」「午後始業前に全員で立つ」など、職場のリズムに乗せる設計が有効です。

5.続かない理由は“意識の低さ”ではなく“設計不足”

健康施策が続かないとき、「従業員の意識が低い」「忙しくて無理」と片づけられがちです。
しかし、実際には本人のやる気より、実行しやすい流れがあるかどうかの影響が大きいことも少なくありません。

よくある失敗
  • 「各自で適宜やってください」で終わる
  • 忙しい時間帯に無理に入れる
  • 一部の人だけが頑張る形になる
  • 管理職が参加しない
続きやすい設計
  • 時間と場面を決める
  • 1〜3分で終わる内容にする
  • 全員参加しやすい強度にする
  • 職場全体の空気にする

特にデスクワーカー向けの短時間運動プログラム研究では、継続には隙間時間の活用、モチベーション維持、職場の一体感が必要と示唆されています。
これは、座位時間対策を「福利厚生の余白」ではなく、働き方設計の一部として扱う視点が大切だということでもあります。

6.低コストで始める職場改善の考え方

座りすぎ対策は、必ずしも高額な設備投資から始める必要はありません。
まずは、「立つ」「歩く」「軽く動く」ことを職場で許容し、見える形にするだけでも変化は起こります。

始めやすい施策 期待しやすい効果 取り入れやすさ
定時ストレッチ・ミニ体操 腰痛・肩こり対策、再集中 高い
立ち会議 座位中断、会議短縮 高い
声かけ・通知による立ち上がり促進 座位中断の習慣化 高い
短尺動画での運動配信 多拠点・在宅勤務者への展開 中〜高
昇降デスク・環境改善 長期的な座位対策

大切なのは、「できる範囲で始める」→「継続しやすい形へ調整する」という順番です。
最初から完璧を目指すより、まずは座りっぱなしを少し切るところから始めるほうが、結果として職場に根づきやすくなります。

7.まずは1日10分から始める実践プラン

「いきなり制度化までは難しい」という場合は、まずは小さく始めてみるのがおすすめです。
たとえば、こんな1日10分プランでも十分に入口になります。

アクティブブレイク 1日10分モデル
  • 午前:始業後に1〜2分の肩・背中ストレッチ
  • 昼休み後:1〜3分の立ち上がり体操
  • 午後:15時前後に1分の立ち・伸び・深呼吸
  • 業務中:コピーや声かけを“歩く理由”に置き換える
  • 会議:短い確認会議だけでも立って行う

これだけでも、長く固定された姿勢を切る回数は増やせます。
デスクワーク施策は、「特別なことをする」より「普段の仕事の流れを少し変える」ことのほうが、実務では継続しやすいことが多いのです。

まとめ

  • デスクワーク対策では、「座りすぎ」と「座りっぱなし」を分けて考えることが大切
  • 勤務中の健康施策は、運動時間の確保だけでなく、こまめな中断の設計でも前進できる
  • 続かない原因は、個人の意識不足よりも、実行しやすい流れがないことにある場合が多い
  • まずは1日10分、立つ・歩く・伸ばすを職場の流れに組み込むところから始めるのがおすすめ
デスクワーク不調対策を、
“単発の注意喚起”で終わらせないために

ウェルネスドアでは、デスクワーク不調対策をテーマにした健康セミナー、運動プログラム、短尺動画、eラーニング設計まで、対象者や働き方に合わせてご提案しています。
「うちの職場なら、どこから始めるのが現実的か」を整理したい場合も、お気軽にご相談ください。

参考情報・出典
  • 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
  • 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」関連資料
  • e-ヘルスネット「座位行動の定義とその実態」「座位行動と死亡率の関係」
  • 過労死等防止調査研究センター:勤務中の座位時間を立ち・歩行へ置き換える研究紹介
  • 和歌山県立医科大学ほか:デスクワーカー向け3分程度の運動プログラム研究

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の症状や疾患の診断・治療を目的とするものではありません。症状が強い場合や長引く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。