🔴 2026年最新 公開:2026年5月

【2026年最新】ストレスチェック義務化が全事業場へ拡大|50人未満の企業がいま準備すべきこと

この記事でわかること

  • 2025年5月公布の改正労働安全衛生法で、50人未満の事業場にもストレスチェック実施が義務化されました
  • 施行は最長2028年5月まで。厚労省は2026年2月に小規模事業場向け実施マニュアルを公表済み
  • 精神障害の労災認定が2024年度に1,055件と史上初の1,000件超え──企業の対策は待ったなし
  • 50人未満でも外部委託や無料支援を活用すれば、無理なく制度を導入できます

💬 この記事を読む前に|狩野 学(ウェルネスドア合同会社 代表)

ストレスチェックの義務化が全事業場に拡大されます。しかし、私が企業の現場で見てきた光景は、「ストレスチェックを実施している企業」と「ストレスチェックを活かしている企業」は、まったくの別物だということです。

実施率9割を超える50人以上の事業場でも、集団分析の結果を「施策」に繋げている企業は体感で2割以下。多くの企業が「数字は取りました。でも何をすればいいかわかりません」という状態です。

この記事では制度の正確な解説に加えて、各パートの末尾に「🎯 狩野の実務メモ」を掲載しています。「義務を果たす」だけでなく、「ストレスチェックを経営の武器にする」ための視点をお伝えします。

「うちは従業員30人だから、ストレスチェックは関係ない」──そう思っていませんか?

2025年5月14日、改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)が公布され、これまで「努力義務」にとどまっていた従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されました。

施行は公布後3年以内、つまり遅くとも2028年5月までにはすべての事業場で実施が必須となります。

この記事では、法改正の全体像から、小規模事業場が押さえるべき実務ポイント、そして集団分析を組織改善に活かす方法まで、専門家が徹底解説します。

第1部:何が変わった?改正労働安全衛生法の核心

今回の改正における最大のポイントは、ストレスチェックの実施義務の対象がすべての事業場に拡大されたことです。以下の表で、改正前後の違いを整理しましょう。

項目 改正前(〜2025年5月) 改正後(2028年5月までに施行)
対象事業場 常時50人以上 すべての事業場
50人未満の扱い 努力義務 義務(実施必須)
労基署への報告 50人以上のみ義務 50人未満は報告不要(変更なし)
集団分析 努力義務 努力義務(変更なし)

Q. 施行はいつからですか? A. 公布日(2025年5月14日)から3年以内に政令で定められます。最長で2028年5月14日が施行期限です。ただし、政令により前倒しされる可能性もあるため、早めの準備が重要です。

出典:厚生労働省「ストレスチェックが義務になります!(リーフレット)」(令和8年3月)/中央労働災害防止協会「50人未満義務化 改正Q&A

🎯 狩野の実務メモ|「何が変わったか」より先に考えるべきこと

制度変更の詳細を追いかける前に、まず確認してほしいことが一つあります。

「御社のストレスチェック、去年の結果は"誰が"見て、"何を"決めましたか?」

この質問に即答できる企業は、義務化の拡大を恐れる必要はありません。答えられない企業は、50人以上でも50人未満でも、ストレスチェックが「やっただけの行事」になっていることを意味します。義務化で大切なのは「やること」ではなく、「やった結果で何を変えるか」を先に決めておくことです。

第2部:なぜ今?義務化の背景にある「3つの危機」

危機①:精神障害の労災認定が史上初の1,000件超え

厚生労働省が2025年6月25日に公表した「令和6年度 過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の労災支給決定件数は1,055件(前年度比172件増)と、6年連続で過去最多を更新し、史上初めて1,000件を超えました。

📊 2024年度の主な数値:

  • 労災請求件数:3,780件(前年度比+205件、4年連続増加)
  • 支給決定件数:1,055件(前年度比+172件、6年連続増加)
  • 最多要因:「パワーハラスメント」224件(全体の21.2%)
  • カスタマーハラスメント:108件

出典:厚生労働省「令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」(2025年6月25日)

危機②:小規模事業場の実施率の低さ

厚生労働省の調査によると、50人以上の事業場ではストレスチェックの実施率が約9割に達している一方で、50人未満の事業場では努力義務であったこともあり、実施率は著しく低い水準にとどまっていました。

この格差が、労働者が受けられるメンタルヘルスケアの機会に不均衡を生んでいると問題視され、義務化の大きな根拠となりました。50人未満の事業場は全事業場の約96%を占め、そこで働く人は全労働者の半数以上にのぼります。

危機③:メンタル不調は小規模事業場ほどダメージが大きい

厚生労働省のマニュアルでは、ひとたび従業員がメンタルヘルス不調に陥ると、その病休期間は平均で約3か月復職後に再び病休になる割合も約半数に上ると示されています。人員に余裕のない小規模事業場にとっては、大きな人材の損失であり、経営上のリスクに直結します。

🎯 狩野の実務メモ|1,055件の数字が意味する"もう一つのこと"

精神障害の労災認定1,055件。この数字は「メンタル不調が増えている」ことを示していますが、私が注目するのは別の側面です。この1,055件の多くは、「本人が声を上げる前に、周囲が気づけなかった」ケースです。

小規模事業場では、人間関係が近い分「何となく様子がおかしい」と感じる場面は多い。しかし、「感じた」と「対応した」の間には深い溝があります。

ストレスチェックの義務化は、この溝を埋めるための「きっかけ」です。重要なのは、ストレスチェックの結果を見て「高ストレス者がいた」で終わらせず、「この職場で何が起きているのか」を考える文化をつくることです。50人未満だからこそ、社長や管理者が全員の顔を見て、「あの人最近元気ないな」を制度として拾える──それは大企業にはない強みです。

第3部:小規模事業場が押さえるべき「5つの実務ポイント」

厚生労働省は2026年2月25日に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。このマニュアルに基づき、50人未満の事業場が押さえるべきポイントを整理します。

1️⃣ 外部委託が原則推奨
小規模事業場では社内の人間関係が近く、従業員が「社長に結果を知られるのではないか」と不安を抱きやすいため、原則として外部機関(健診機関など)への委託が推奨されています。外部委託する場合、事業場内には「実務担当者」を選任するだけで対応可能です。
2️⃣ 実施者は医師・保健師・公認心理師等
ストレスチェックを実施できるのは、医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師です。外部委託先の専門機関に配置される形が現実的です。
3️⃣ 医師面接は「地域産業保健センター」で無料対応
高ストレス者と判定された従業員から申出があった場合、医師による面接指導が必要です。50人未満の事業場では産業医の選任義務がないため、最寄りの「地域産業保健センター(地産保)」に依頼することで、無料で医師の面接指導を受けられます。全国約350か所に設置されています。
4️⃣ 労基署への報告は「不要」
50人未満の事業場は、ストレスチェックの実施結果を労働基準監督署へ報告する義務はありません。ただし、「常時使用する労働者が50人以上」に該当する場合は報告が必要です。常時使用の判断は、契約期間や労働時間ではなく、常態として使用しているかどうかで判断されます。
5️⃣ プライバシー保護は最重要課題
小規模事業場では、人数が少ないがゆえに個人の特定リスクが高くなります。個人のストレスチェック結果は「要配慮個人情報」であり、本人の同意なく事業者が取得することは禁止されています。結果の保存は外部委託先で行い、事業場内では取り扱わないことが推奨されています。

出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)

🎯 狩野の実務メモ|50人未満の事業場が最初にやるべき「たった一つのこと」

5つのポイントを全部同時に整備しようとすると、必ず止まります。私が50人未満の事業場に最初にお伝えするのは、「まず外部委託先を1社決めてください。それだけで8割は解決します」ということです。

外部委託先が決まれば、実施者の確保、プライバシー保護、結果の保存、高ストレス者面談の手配まで、ほぼ一括で対応できます。残りは「社内の実務担当者を誰にするか」を決めるだけ。

「全部理解してから始めよう」ではなく、「外部委託先を決めてから理解を深めよう」──この順番を間違えなければ、施行日に慌てることはありません。地域産業保健センター(地産保)に相談すれば、無料で面接指導も受けられます。まずは最寄りの地産保に連絡してみてください。

第4部:集団分析は"義務"じゃないけど"最大の武器"

ストレスチェック結果の集団分析は、改正後も引き続き「努力義務」です。しかし、組織の課題を客観的データで可視化できる唯一の手段であり、特に小規模事業場ではその効果が見えやすいという大きなメリットがあります。

Q. 小規模事業場でも集団分析はできますか? A. 受検者数が10人未満の場合は、個人が特定されるおそれがあるため、原則として全員の同意がない限り事業者は集団分析結果の提供を受けることはできません。10人以上であれば実施可能です。

集団分析を実施できる規模の事業場では、以下の3ステップで結果を活用しましょう。

STEP 1:部署ごとの数値を比較し、「要注意部署」を特定する
「仕事の量的負担」「上司の支援」などの項目で、全社平均と比べて特に数値が悪い部署やチームを洗い出します。
STEP 2:結果の背景にある「原因」を深掘りする
数字の良し悪しを「ジャッジ」するのではなく、現場の声を吸い上げることが重要です。管理職を「責める」のではなく、「一緒に課題を整理する」姿勢がカギになります。
STEP 3:具体的な職場環境改善計画を立てる
「明日からお金をかけずにできること」を1つだけ決める──これが最も効果的な改善の第一歩です。「挨拶をしよう」「週1回は定時で帰ろう」など、小さな変化から始めましょう。

🎯 狩野の実務メモ|集団分析を"武器"にする企業と、"紙"で終わらせる企業の違い

集団分析は努力義務です。しかし、私は「義務でなくてもやるべき」と強く勧めています。なぜなら、集団分析こそがストレスチェックを「個人の検査」から「組織の診断」に変える唯一の方法だからです。

私が企業で見てきた「集団分析を武器にしている企業」には、共通点があります:

① 結果を「経営会議」で報告している(担当部署で完結させない)
② 数字を「施策」に変換している(「高ストレス者○人」ではなく「この部署は"上司の支援"が低い→ラインケア研修を実施」)
③ 翌年の結果と比較している(やりっぱなしにせず、PDCAを回している)

逆に「紙で終わる企業」は、結果を人事部のキャビネットにしまって1年後に思い出す──これでは年に1回の健康診断と同じで、「異常あり」を知っただけで何もしないのと同じです。50人未満の事業場は人数が少ない分、集団分析の結果がダイレクトに施策に繋がりやすい。これは大企業にはないアドバンテージです。

第5部:課題別アクションプラン──結果をどう「行動」に変えるか

ストレスチェックや集団分析の結果から見えてくる典型的な課題と、その解決策をご紹介します。

課題①:「上司と部下のコミュニケーションに問題がありそう」

パワーハラスメントが精神障害の労災認定で最多要因(224件)となっている今、上司と部下の関係性改善は最優先課題です。
推奨アクション: 管理職向けの「ラインケア研修」で、部下との信頼関係を築くための傾聴・対話スキルを体系的に学ぶことをお勧めします。

課題②:「全社的にセルフケア意識が低い」

従業員自身がストレスに気づき、対処する能力が低い状態です。特に小規模事業場では、人事労務の専門部署がなく、一人あたりの業務範囲が広いため、ストレスを抱えやすい構造があります。
推奨アクション: 全従業員向けの「メンタルヘルス(セルフケア)セミナー」を実施し、ストレスとの上手な付き合い方を学んでもらうのが効果的です。

課題③:「カスタマーハラスメントへの対策が不足」

顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)による労災認定が108件に達しており、特に「医療・福祉」「小売業」「サービス業」で深刻です。
推奨アクション: 「カスハラ対策研修」で対応マニュアルの整備と、従業員が一人で抱え込まない相談体制の構築を進めましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 50人未満の義務化はいつから施行されますか? A. 公布日(2025年5月14日)から3年以内に政令で定められます。最長で2028年5月14日が施行期限です。政令により前倒しされる可能性もあります。

Q2. パート・アルバイトも対象に含まれますか? A. はい。①契約期間が1年以上(または更新により1年以上の見込み)、②週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上──この2つをいずれも満たす場合、パート・アルバイトもストレスチェックの対象です。

Q3. 産業医がいなくても実施できますか? A. 外部機関への委託が推奨されています。また、高ストレス者への面接指導は、各地域の「地域産業保健センター」で無料で受けることができます。

Q4. 実施しなかった場合の罰則はありますか? A. ストレスチェックの実施自体に直接の罰則はありませんが、50人以上の事業場で労基署への報告を怠った場合は50万円以下の罰金が科される可能性があります(労働安全衛生法第120条)。また、実施を怠ったことが安全配慮義務違反と判断されるリスクもあります。

Q5. 費用はどのくらいかかりますか? A. 外部委託の場合、従業員1人あたり数百円〜数千円が一般的な目安です。面接指導は地域産業保健センターで無料対応が可能です。また、産業保健総合支援センターでは、制度導入に関する研修・相談・訪問支援を無料で受けられます。

Q6. すでに実施している場合、何か変更が必要ですか? A. 現在すでに50人以上の事業場と同様の方法でストレスチェックを実施している場合は、基本的に実施内容を変更する必要はありません。今後、施行に合わせた安全衛生規則等の改正がある場合は、その内容を確認してください。

まとめ:義務化を「コスト」ではなく「チャンス」に変える

ストレスチェックの義務化は、一見すると「負担が増える」と感じるかもしれません。しかし、厚生労働省のマニュアルでも指摘されているように、働きやすい職場の実現を通じて、生産性の向上や人材の確保・定着、企業価値の向上といった持続的な経営につながります。

特に人材不足が深刻な小規模事業場にとって、従業員のメンタルヘルスを守ることは、最大の経営リスク対策です。施行までの準備期間を活用して、今から計画的に体制を整えていきましょう。

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  • 地域産業保健センター:医師の面接指導が無料(全国約350か所)
  • ストレスチェック制度サポートダイヤル:0570-031050(平日10時〜17時)
  • こころの耳:https://kokoro.mhlw.go.jp/(厚労省メンタルヘルスポータルサイト)

この記事の監修

ウェルネスドア合同会社

代表・アメリカスポーツ医科学会認定トレーナー

健康経営エキスパートアドバイザー資格保有スタッフ多数在籍

【免責事項】
本記事の内容は、2026年5月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的としています。改正労働安全衛生法の具体的な施行日や省令の詳細は、今後政令で定められます。制度の具体的な運用については、必ず貴社顧問の社会保険労務士や産業医、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。

【公式情報・出典】
・厚生労働省「ストレスチェックが義務になります!(リーフレット)」(令和8年3月)
・厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)
・厚生労働省「令和6年度「過労死等の労災補償状況」」(令和7年6月25日公表)
・中央労働災害防止協会「ストレスチェック50人未満義務化 改正Q&A
・厚生労働省「こころの耳」ストレスチェック制度について

📋 以下は、2025年の法改正前に公開したコラムです。
ストレスチェック制度の基本的な考え方や、集団分析の活用法・職場改善ワークショップの進め方など、実務に役立つ内容は引き続きご参考いただけます。
ただし、制度の対象範囲・最新の統計データについては、上記の【2026年最新版】コラムをご参照ください。

【担当者必見】ストレスチェック制度の「報告書作成」と「集団分析の活用法」を徹底解説

この記事のポイント

  • 労働基準監督署へのストレスチェック報告書の正しい書き方がわかる
  • 集団分析の結果を職場改善に活かすための具体的な3ステップが学べる
  • 集団分析で見つかる典型的な課題と、その解決策(アクションプラン)が手に入る
  • 義務であるストレスチェックを、組織改善のための戦略的ツールに変えるヒントが見つかる

「今年もストレスチェックの時期が来た…」

「報告書の書き方はこれで合っているだろうか?」

「集団分析の結果が出たけど、この数字をどう活かせばいいのか分からない…」

毎年実施が義務付けられているストレスチェック制度。しかし、その報告と結果の活用に悩むご担当者様は少なくありません。この記事では、そんなお悩みを解決するため、「報告書の正しい書き方」から、結果を「組織の宝」に変える集団分析の活用法までを、専門家が分かりやすくガイドします。

第1部:もう迷わない!労働基準監督署への報告書作成ガイド

ストレスチェック実施後、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、所轄の労働基準監督署へ「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出する義務があります。

Q. ストレスチェックの報告書は、いつ、どこに提出するのですか? A. 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、年に1回、所轄の労働基準監督署へ「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出する義務があります。

📄 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書 (見本)

事業場の名称:ウェルネスドア株式会社

報告日:2025年 8月 19日

在籍労働者数:120 人

検査を受けた労働者数:115 人

面接指導申出者数:3 人

検査実施者:(医師) 健康 一郎

報告書作成で特に間違いやすい、注意すべきポイントは以下の通りです。

  • 在籍労働者数: 調査時点での在籍者数を正確にカウントします。パート・アルバイトも含まれます。
  • 検査を受けた労働者数: 実際にストレスチェックを受検した人数を記入します。
  • 検査実施者: 医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師等が該当します。外部業者に委託した場合は、その業者の担当者名や資格を記載します。

提出は年に1回、事業年度終了後など、社内で定めた時期に行います。e-Govによる電子申請も可能ですので、ご活用ください。

第2部:"実施して終わり"にしない!集団分析を組織改善に繋げる3ステップ

集団分析は、職場環境の課題を客観的なデータで把握できる、年に一度の絶好の機会です。以下の3ステップで、結果を有効活用しましょう。

Q. ストレスチェックの「集団分析」は何のために行うのですか? A. 個人の結果ではなく、部署やチームごとのストレス傾向を把握し、職場環境の課題を客観的なデータに基づいて特定するために行います。分析結果を活かすことで、効果的な組織改善に繋げることができます。

  • 1️⃣ STEP 1:部署ごとの数値を比較し、「要注意部署」を特定する
    「仕事の量的負担」「上司の支援」などの項目で、全社平均と比べて特に数値が悪い部署やチームを洗い出します。健康リスクのレーダーチャートが小さくなっている部署は、特に注意が必要です。
  • 2️⃣ STEP 2:結果の背景にある「原因」を深掘りする
    例えば「A部は『上司からの支援』の点数が低い」という結果が出た場合、その原因は何かを考えます。「管理職が多忙で部下を見る余裕がないのか?」「そもそもコミュニケーション方法に課題があるのか?」など、具体的な場面を想像することが重要です。
  • 3️⃣ STEP 3:具体的な職場環境改善計画を立てる
    深掘りした原因に基づき、実現可能なアクションプランを立てます。「来月、A部の管理職向けに1時間のコミュニケーション研修を実施する」「四半期に一度、全部署で業務量の棚卸し会議を行う」など、具体的で測定可能な計画にしましょう。

動画で学ぶ「ストレスチェックと集団分析」

第3部:課題別の打ち手はこれ!おすすめのアクションプラン

集団分析の結果から見えてくる典型的な課題と、その解決策をご紹介します。

課題①:「部署内のコミュニケーションに問題がありそう」

上司と部下、または同僚間の意思疎通がうまくいっていない可能性があります。これは、ハラスメントのリスクを高め、生産性を著しく低下させます。
推奨アクション: 管理職向けの「ラインケア研修」で、部下との信頼関係を築くための傾聴・対話スキルを体系的に学ぶことをお勧めします。

課題②:「全社的にセルフケア意識が低い」

従業員自身がストレスに気づき、対処する能力が低い状態です。個人の不調が、やがては組織全体の活力低下に繋がります。
推奨アクション: 全従業員向けの「メンタルヘルス(セルフケア)セミナー」を実施し、ストレスとの上手な付き合い方やリフレッシュ方法を学んでもらうのが効果的です。

課題③:「従業員同士のサポートが少ない」

職場の心理的安全性が低く、孤立感を抱える従業員がいるかもしれません。お互いに助け合う文化がないと、チームワークが生まれにくくなります。
推奨アクション: 部署単位での「チームビルディング研修」や、体を動かしながら交流できる「フィットネスイベント」で、自然なコミュニケーションを活性化させましょう。

まとめ

ストレスチェックは、年に一度、組織の「心の健康状態」を測定できる貴重な機会です。報告義務を確実に果たし、さらに集団分析を深く読み解くことで、従業員がより健康で、生産的に働ける職場環境を実現できます。もし、集団分析の結果の解釈や、具体的な改善策の実行にお困りでしたら、いつでも我々ウェルネスドアにご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なプランをご提案します。

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【免責事項】
本記事の内容は、公開日時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的としています。ストレスチェック制度の具体的な運用や報告については、必ず貴社顧問の社会保険労務士や産業医、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。

【公式情報】
・厚生労働省・こころの耳「ストレスチェック制度について」
・厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」

ストレスチェック活用コラム Vol.2

【続編】その分析、現場に丸投げしていませんか?高ストレス職場を救う「対話」の技術

今回のポイント:結果を「行動」に変えるには

  • 集団分析の結果を現場管理職に渡すだけでは、かえって職場環境が悪化するリスクがあります。
  • 数字の良し悪しをジャッジするのではなく、現場の声を吸い上げる「職場環境改善ワークショップ」の手法を紹介します。
  • 人事担当者がファシリテーター(進行役)として意識すべき、心理的安全性の作り方を解説します。

前回のコラムでは、ストレスチェックの報告書作成から集団分析の基本的な流れまでを解説しました。

しかし、実はここからが本当の勝負です。多くの企業で起きているのが、**「分析結果を各部署の管理職にメールで送って終了」**というパターンです。

【よくある失敗例:管理職の心の声】
「人事から『お宅の部署はストレス値が高いから改善してください』とメールが来た。忙しいのに、これ以上何をしろと言うんだ…。とりあえず部下に『もっと明るく働こう』と伝えておくか(逆効果)」

このように、数字だけを突きつけると、管理職は「責められている」と感じて防衛的になり、本質的な改善には繋がりません。今回は、現場を味方につけ、前向きな改善サイクルを回すための具体的なアプローチをお伝えします。

第1章:「犯人探し」をやめよう。数字はあくまで「きっかけ」

集団分析の結果が悪い(高ストレス判定が出た)部署に対し、最初にかける言葉は非常に重要です。

× NGアプローチ
「A課長、今回の結果が悪かったです。原因は何ですか?改善策を出してください。」

○ OKアプローチ
「A課長、今回の結果で『業務量の負担感』が高い傾向が出ました。現場のみなさん、かなり頑張ってくれているようですね。まずは現状の課題を整理する時間を少し作りませんか?」

ポイントは、「管理職の管理能力不足」ではなく「組織全体の課題」として捉える姿勢を見せることです。これにより、管理職は人事担当者を「監視者」ではなく「支援者」として受け入れてくれるようになります。

第2章:現場の本音を引き出す「職場改善ワークショップ」

管理職とメンバーが集まり、分析結果をもとに話し合う場を設けます。ただし、ただの会議にしてはいけません。以下のプロセスで進めましょう。

ワークショップの進行例(所要時間:60分)

① 結果の共有(10分)
良い点と悪い点を客観的に伝えます。「同僚への支援の点数は高いですね(良い点)」など、必ずポジティブな要素から入ります。

② 意見の出し合い(20分)
「もっとこうなれば働きやすい」というアイデアを付箋に書き出します。この時、「不満大会」にならないよう、「どうすれば良くなるか(未来志向)」で書いてもらいます。

③ グルーピングと投票(15分)
似た意見をまとめ、優先して取り組みたいものにシールで投票します。

④ アクション決定(15分)
「挨拶をしよう」「週1回は定時で帰ろう」など、明日からお金をかけずにできることを1つだけ決めます。

第3章:社外リソースの活用が成功の鍵

とはいえ、社内の人間だけで本音の議論をするのは難しい場合もあります。特に、上司と部下の関係がギくしゃくしている場合、人事担当者が間に入ってもうまくいかないことがあります。

そのような時は、「外部の専門家(ファシリテーター)」を入れるのが効果的です。

  • 中立性:利害関係がないため、参加者が本音を言いやすい。
  • 専門性:議論がネガティブな方向に流れた際の軌道修正がうまい。
  • 納得感:第三者の客観的な意見として、管理職も受け入れやすい。

ウェルネスドアの「職場改善サポート」

「分析結果を見ても、具体的なアクションプランが立てられない」
「現場のワークショップをプロに進行してほしい」
産業カウンセラーやトレーナーなどの専門家が貴社に伺い、結果のフィードバックから改善ワークショップのファシリテーションまで一貫してサポートします。

この記事の監修者

狩野 学(かりの まなぶ)

ウェルネスドア合同会社 代表

アメリカスポーツ医科学会認定トレーナー

【参考文献】
・厚生労働省「職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)」
・中央労働災害防止協会「快適職場調査」