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在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)におけるメンタルヘルスについて、精神科医・産業医がそのリスクと課題、セルフケアについて解説します。
リモートワークでは、通勤や対面のやり取りが減ることで、生活リズムの乱れや孤立感が生じやすくなります。
精神的な不調や生産性の低下につながるリスクがあるため、企業側の配慮と個人の意識が重要です。
オンライン中心の業務では、雑談や相談の機会が減少し、孤独感・孤立感が強まる傾向があります。
漠然とした不安感やストレスを感じる人も多く、チーム内での定期的な交流やフィードバックが求められます。
リモート環境でも心身の健康を保つためには、生活リズムの維持・運動・休憩・相談の場づくりが大切です。
自分の状態を客観的に把握し、必要に応じて専門家の支援を受けることも有効です。
リモートワークの普及に伴い、メンタルヘルスへの配慮はますます重要になっています。
孤独感や不安感への対応は、個人だけでなく企業全体で取り組むべき課題です。
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コロナウイルスの世界的流行により、リモートワークが急速に普及しました。
実は厚生労働省は2017年からICT活用を推奨しており、働き方改革の一環としてテレワークはすでに準備されていた制度です。
フレキシブルな働き方は、子育て世代や地方在住者の労働機会を広げ、通勤時間の削減によって生活の質向上にもつながります。
しかし、急な変化に戸惑い、適応できずに悩む人も少なくありません。
通勤がなくなり、起床・就寝時間が不規則になることで、on-offの切り替えが困難になります。
集中力が低下し、タスクに時間がかかるようになり、結果的に残業が増加。
運動不足やストレスも加わり、睡眠の質が悪化することで、生活習慣の乱れがメンタル不調に直結します。
ポイント:朝のルーティンを整えることが、心身の安定につながります。
社内の雑談や相談の機会が減り、孤独感・孤立感を感じる人が増えています。
精神科外来でも、リモートワークによる人間関係の希薄化が原因と思われる相談が増加。
会社内だけでなく、友人との交流も減ることで、漠然とした不安感が心を蝕むケースもあります。
ポイント:定期的なオンライン面談や雑談の場を設けることで、心理的安全性を高めることができます。
リモートワークでは、社員同士の雑談や相談の機会が減少し、心理的な距離感が生まれやすくなります。
チャットツールの導入などで対策は進んでいますが、対面で得られる表情・声のトーン・空気感などが失われ、誤解や不快感につながることもあります。
特にITに不慣れな世代では、オンラインでのやり取りに強いストレスを感じる傾向があります。
ポイント:チャットだけでなく、定期的なビデオ通話や1on1ミーティングを活用し、関係性の維持を図ることが重要です。
リモート環境では、相手の状況が見えないため、質問や相談のタイミングが掴みにくくなります。
新入社員は「今聞いてもいいのか?」という不安を抱え、上司も部下の状態を把握しづらく、指導が難しくなるという声が多く聞かれます。
オンラインでは文面のみのやり取りとなり、非言語情報が欠落
心理的安全性:安心して意見や相談ができる関係性を築くためには、上司側の積極的な声かけや、相談しやすい雰囲気づくりが不可欠です。
外出制限により、仕事もプライベートも家の中で完結する生活が続くと、人と接する機会が激減します。
一人暮らしの方では、1日の会話量がほぼゼロになるケースもあり、漠然とした不安感が心を蝕む原因となります。
気づかないうちに涙が出る、朝起きられないなどの症状が現れ、限界まで我慢してしまう人も少なくありません。
関連情報:人間は1日平均15,000語を話すと言われており、会話量の減少はメンタル不調のリスクを高めます(2007年 米国科学誌「Science」より)。
ポイント:孤立を防ぐためには、オンラインでも「誰かとつながっている」感覚を持てる仕組みが必要です。
外出や友人との交流が制限される中、自分自身をケアする力が求められています。
特に重要なのは、仕事とプライベートのon-offを明確にすること。
通勤がなくなったことで、ギリギリまで寝て部屋着のまま作業する人も増えていますが、これは心身の切り替えを妨げる要因になります。
ポイント:起床時間を一定に保ち、朝のストレッチやラジオ体操などで脳と体を目覚めさせましょう。
関連情報:ドイツの調査では、体内リズムの変化に慣れるまで平均3週間かかるとされ、夜型の人は4週間経っても改善しない傾向があると報告されています(日本睡眠学会)。
ベッドやソファでの作業は、姿勢が悪くなり、背骨や神経への負担が増加します。
自律神経が乱れることで、睡眠・消化・血圧などに影響が出る可能性も。
また、デスク周りが散らかっていると、視覚的なストレスが集中力を低下させます。
ポイント:「デスクの散らかりは心の散らかり」。作業スペースを整えることで、心も整います。
家族と過ごす時間が増える一方で、仕事と家庭の境界が曖昧になり、ストレスを感じる人もいます。
配偶者や子どもとの距離感に悩むケースは、夫婦カウンセリングでも増加傾向にあります。
家族もリモート環境に慣れていないため、お互いに理解し合う時間と対話が必要です。
ポイント:家庭内でも「仕事時間」と「家族時間」を明確に分けることで、ストレスを軽減できます。
リモートワークは、柔軟な働き方を可能にする一方で、生活リズムの乱れやコミュニケーション不足によるメンタルヘルスへの影響が懸念されています。
その中で私たちができることは、自分自身の生活習慣を整え、働く環境を見直し、周囲とのつながりを意識的に保つことです。
企業やチームとしても、心理的安全性を高める取り組みや、孤立を防ぐ仕組みづくりが求められています。
心の不調は目に見えにくく、気づいたときには深刻化していることもあります。だからこそ、日々のセルフケアと小さな違和感への気づきが、健やかな働き方への第一歩となります。
リモートワークが当たり前になった今、心と体のバランスを保つことは、働くすべての人にとっての共通課題です。
ひとりで抱え込まず、必要なときには専門家の力を借りることも、立派なセルフケアのひとつです。
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