「月曜日の朝になると、体調不良の連絡が増える…」
「特定の従業員が、短期間の休みを繰り返している…」
人事・労務管理において、従業員の勤怠データは重要な指標です。しかし、単に病欠日数(アブセンティーズム)の合計を追うだけでは、その背後にある本質的な健康課題を見過ごしてしまう可能性があります。本当に重要なのは、**「どのように休んでいるか」というパターン**なのです。
アブセンティーズムとは、病気やケガ(メンタル不調を含む)を理由に従業員が職場を欠勤することを指します。これは企業の生産性に直接的な影響を与えるため、多くの企業がその日数の削減を目標に掲げています。
しかし、注目すべきは、休み方のパターンです。例えば、
この二つの合計日数は同じ「5日間」ですが、後者の背景には、ストレスや過重労働、あるいは何らかの疾病の初期症状といった、より深刻な問題が隠れている可能性があります。このように、休み方のパターンを分析することで、本格的な不調や休職を未然に防ぐための重要な手がかりを得ることができるのです。
以下のツールは、ご自身の休み方の傾向を客観的に振り返り、その背後にあるかもしれない健康リスクを認識するためのものです。回答は完全に匿名で、個人が特定されることは決してありません。安心して正直にお答えください。
病欠日数が少なく、自己管理がしっかりできています。健康は貴重な資本です。今後も定期的な運動、バランスの取れた食事、質の良い睡眠を心がけ、この素晴らしい状態を維持してください。
この層の従業員が多いことは、健全な職場環境の証です。現在の健康維持施策(定期健診の推奨、健康情報の提供など)を継続していきましょう。
特定の病気やケガからの回復、お疲れ様でした。まとまった療養が必要だったことと存じます。今後は再発防止が重要です。業務負荷の調整や、生活習慣の見直しについて、会社とも相談しながら進めていきましょう。
職場復帰後のフォローアップが重要です。治療と仕事の両立支援制度を改めて周知し、当該従業員が無理なく働ける環境を整えましょう。
短期の休みを繰り返したり、休みが特定の曜日に偏る場合、背景に心身の疲労蓄積や高いストレスが隠れている可能性があります。本格的な不調に繋がる前に、生活習慣の見直しや、ストレスケアを意識してみましょう。
このパターンの従業員が多い場合、組織全体の業務負荷が高い、またはストレスフルな職場環境である可能性が示唆されます。職場環境の改善が根本的な対策となります。
メンタル不調を理由にお休みされたのですね。その状態を自己認識し、休暇を取る判断をされたことは、ご自身を守るための非常に大切な一歩です。回復には専門家のサポートが非常に有効です。会社の相談窓口や産業医などをためらわずに活用してください。
プライバシーに最大限配慮した上で、相談しやすい窓口の周知徹底と、管理職向けのラインケア教育が不可欠です。従業員が安心してサポートを求められる体制を構築しましょう。
診断お疲れ様でした。この結果は、従業員と組織の双方にとって、より良い職場環境を築くための重要なヒントとなります。タイプ別に具体的なアクションプランを見ていきましょう。
個人:素晴らしい自己管理能力です。この健康状態を維持することが、最高のパフォーマンスに繋がります。
組織:従業員の健康意識が高い状態です。現在の健康増進施策を継続し、健康的な職場文化を維持していきましょう。
個人:無理は禁物です。職場復帰後は、業務負荷について上司と相談し、再発防止に努めましょう。
組織:治療と仕事の両立支援が鍵となります。産業医面談の設定や、時差出勤・時短勤務などの柔軟な働き方を提案し、スムーズな職場復帰をサポートしましょう。
個人:「これくらい大丈夫」と我慢していませんか?その小さな不調が、大きな問題に繋がる前に、専門家への相談や生活習慣の見直しを行いましょう。
組織:長期休職の「イエローカード」状態です。管理職は当該従業員との1on1を増やし、業務負荷や人間関係の問題がないかヒアリングを。組織全体の労働時間管理も見直す必要があります。
個人:ご自身の状態を認識し、休む決断をされたことは非常に重要です。一人で抱え込まず、必ず専門家の力を借りてください。
組織:最優先で対応すべき課題です。産業医や外部EAP(従業員支援プログラム)などの相談窓口を形骸化させず、プライバシーが守られた上で、いつでも誰でもアクセスできる体制を整え、周知徹底することが企業の責務です。
アブセンティーズムは、発生してから対応する「事後処理」では手遅れになるケースが少なくありません。休み方のパターンという「サイン」にいち早く気づき、予防的なアプローチを取ること。それが、従業員の健康を守り、企業の持続的な成長を支える健康経営の本質です。
「部下の不調のサインに、いち早く気づける管理職を育てたい」
「従業員が安心して相談できる、外部の専門窓口を設置したい」
ウェルネスドアが、貴社の課題に合わせたラインケア研修や相談体制の構築をサポートします。
【監修】
ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学(かりの まなぶ)
エキスパートインサイト 専門家チーム