アブセンティーズム(病欠)に潜むサインとは?「休み方」でわかる健康リスクと企業の対策

この記事のポイント

  • 単なる欠勤日数だけでなく、「休み方のパターン」こそが重要な健康リスクのサインであることがわかる。
  • 診断ツールを使い、従業員の休み方に潜む4つのリスクタイプを匿名で自己評価できる。
  • 診断結果のタイプ別に、個人と組織がそれぞれ取るべき具体的なアクションが明確になる。

「月曜日の朝になると、体調不良の連絡が増える…」
「特定の従業員が、短期間の休みを繰り返している…」

人事・労務管理において、従業員の勤怠データは重要な指標です。しかし、単に病欠日数(アブセンティーズム)の合計を追うだけでは、その背後にある本質的な健康課題を見過ごしてしまう可能性があります。本当に重要なのは、**「どのように休んでいるか」というパターン**なのです。

第1章:日数だけでは見えない、アブセンティーズムの本質

アブセンティーズムとは、病気やケガ(メンタル不調を含む)を理由に従業員が職場を欠勤することを指します。これは企業の生産性に直接的な影響を与えるため、多くの企業がその日数の削減を目標に掲げています。

しかし、注目すべきは、休み方のパターンです。例えば、

  • インフルエンザで「5日間連続」で休むケース
  • 原因不明の頭痛で「月に1日」を5回繰り返すケース

この二つの合計日数は同じ「5日間」ですが、後者の背景には、ストレスや過重労働、あるいは何らかの疾病の初期症状といった、より深刻な問題が隠れている可能性があります。このように、休み方のパターンを分析することで、本格的な不調や休職を未然に防ぐための重要な手がかりを得ることができるのです。

第2章:【実践】休み方のパターンから健康リスクを自己診断する

以下のツールは、ご自身の休み方の傾向を客観的に振り返り、その背後にあるかもしれない健康リスクを認識するためのものです。回答は完全に匿名で、個人が特定されることは決してありません。安心して正直にお答えください。

アブセンティーズム・リスク診断ツール

この診断は、ご自身の休み方のパターンから、背後にある健康リスクを自己認識することを目的としています。

【最重要】この回答は完全に匿名で処理され、個人が特定されることは決してありません。正直な回答が、職場全体の健康課題の解決に繋がりますので、安心してお答えください。

第3章:診断結果から見る、企業が取るべき次の一手

診断お疲れ様でした。この結果は、従業員と組織の双方にとって、より良い職場環境を築くための重要なヒントとなります。タイプ別に具体的なアクションプランを見ていきましょう。

【健康維持タイプ】と診断された方・組織

個人:素晴らしい自己管理能力です。この健康状態を維持することが、最高のパフォーマンスに繋がります。
組織:従業員の健康意識が高い状態です。現在の健康増進施策を継続し、健康的な職場文化を維持していきましょう。

【回復・再発防止タイプ】と診断された方・組織

個人:無理は禁物です。職場復帰後は、業務負荷について上司と相談し、再発防止に努めましょう。
組織:治療と仕事の両立支援が鍵となります。産業医面談の設定や、時差出勤・時短勤務などの柔軟な働き方を提案し、スムーズな職場復帰をサポートしましょう。

【隠れ不調注意タイプ】と診断された方・組織

個人:「これくらい大丈夫」と我慢していませんか?その小さな不調が、大きな問題に繋がる前に、専門家への相談や生活習慣の見直しを行いましょう。
組織:長期休職の「イエローカード」状態です。管理職は当該従業員との1on1を増やし、業務負荷や人間関係の問題がないかヒアリングを。組織全体の労働時間管理も見直す必要があります。

【専門家への相談推奨タイプ】と診断された方・組織

個人:ご自身の状態を認識し、休む決断をされたことは非常に重要です。一人で抱え込まず、必ず専門家の力を借りてください。
組織:最優先で対応すべき課題です。産業医や外部EAP(従業員支援プログラム)などの相談窓口を形骸化させず、プライバシーが守られた上で、いつでも誰でもアクセスできる体制を整え、周知徹底することが企業の責務です。

まとめ:アブセンティーズム対策は「予防」と「早期発見」が鍵

アブセンティーズムは、発生してから対応する「事後処理」では手遅れになるケースが少なくありません。休み方のパターンという「サイン」にいち早く気づき、予防的なアプローチを取ること。それが、従業員の健康を守り、企業の持続的な成長を支える健康経営の本質です。

管理職向けの研修や、相談体制の構築をご検討の企業様へ

「部下の不調のサインに、いち早く気づける管理職を育てたい」
「従業員が安心して相談できる、外部の専門窓口を設置したい」
ウェルネスドアが、貴社の課題に合わせたラインケア研修や相談体制の構築をサポートします。

【監修】
ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学(かりの まなぶ)
エキスパートインサイト 専門家チーム