「朝、ベッドから出るのがつらい」
「以前は楽しかった仕事に、今は全く興味がわかない」
「理由もなくイライラしたり、落ち込んだりすることが増えた」
このような「やる気の低下」を感じたとき、多くの人は「自分が怠けているだけだ」「気合が足りない」と自分を責めてしまいがちです。しかし、それは単なる気分の問題ではなく、心と身体が発する重要なSOSサイン、**燃え尽き症候群(バーンアウト)**の始まりかもしれません。
この記事では、仕事に熱心な人ほど陥りやすいバーンアウトの正体と、自分を守るための具体的な予防・対処法を専門家の視点から解説します。
バーンアウトは、世界保健機関(WHO)も「業務上の現象」として正式に定義している状態です。一晩ぐっすり眠れば回復するような一時的な疲労とは異なり、持続的なストレスによってエネルギーが枯渇し、仕事への関心を失ってしまう状態を指します。
バーンアウトは、主に以下の3つの要素で構成されていると考えられています。
仕事を通じて、情緒的なエネルギーを出し尽くしてしまった状態。心身ともに疲れ果て、消耗しきっている感覚です。
顧客や同僚に対して、思いやりのない、投げやりで皮肉な態度をとってしまう状態。仕事から心理的な距離を置くことで、自分を守ろうとする防衛反応の一種です。
仕事での達成感や有能感が著しく低下した状態。「自分はうまくやれていない」「この仕事に意味はあるのか」と感じ、自己評価が下がってしまいます。
最近の自分を振り返り、当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。(これは医学的な診断ではありません)
いくつか当てはまる項目があった方は、早めのセルフケアを始めることが大切です。
テレワークの普及もあり、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。意識的に「今は仕事以外の時間」と区切ることが、心の休息に繋がります。例えば、「終業時刻になったらPCの通知をオフにする」「寝室に仕事用のスマホを持ち込まない」など、自分なりのルールを作ってみましょう。
責任感が強く、真面目な人ほど、常に100%や120%を目指そうとして自分を追い込んでしまいます。「今日は80%の力で十分」「ここはこれで完了とする」など、意図的にハードルを下げる意識を持ちましょう。これは手抜きではなく、持続的にパフォーマンスを発揮するための賢い戦略です。
疲れたときは休むだけでなく、自分が「楽しい」「心地よい」と感じることで、心のエネルギーを積極的に補充することが大切です。好きな音楽を聴く、友人と仕事以外の話をする、軽い運動で汗を流す、自然の多い場所を散歩するなど、あなただけの「充電リスト」を作っておきましょう。
【専門家からのアドバイス】
セルフケアを試みても、数週間にわたって気分の落ち込みや意欲の低下が続く場合は、一人で抱え込まずに専門家へ相談することも重要です。かかりつけ医や、会社の産業医・保健師、カウンセリング窓口などは、あなたの味方です。助けを求めることは、自分を大切にするための勇気ある一歩です。
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【免責事項】
本記事およびセルフチェックは、一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断を行うものではありません。心身の不調が続く場合は、必ず医療機関にご相談ください。
【主な情報源】
・世界保健機関(WHO)「International Classification of Diseases 11th Revision (ICD-11)」
・厚生労働省 こころの耳「燃え尽き症候群」