「健康経営は重要だ」…その一言で、施策の予算は獲得できるでしょうか?
多くの担当者が「重要性は理解されているはずなのに、なぜか予算が承認されない」という壁に直面します。その最大の理由は、健康経営の価値を、経営層が最も重視する**「客観的で具体的な“数字”」**で示せていないからです。この記事では、従業員の不調がもたらす経済的損失、すなわち「見えないコスト」を可視化し、それを武器に経営層を説得する方法を解説します。
従業員の健康問題が引き起こす経済的損失は、大きく2つに分類されます。
病気で従業員が欠勤することによる損失です。休んだ従業員への賃金支払いはもちろん、周囲の従業員がその業務をカバーすることによる負担増や生産性低下といった「間接コスト」も発生します。
頭痛や肩こり、軽いうつ気分など、何らかの不調を抱えながら出社し、本来のパフォーマンスを発揮できないことによる損失です。このプレゼンティーイズムは、アブセンティーイズムの数倍の経済的損失を生む「最大のコスト」と言われています。
これらのコストを可視化することで、初めて健康経営は「福利厚生のコスト」ではなく、「将来のリスクを抑制し、利益を生み出すための**戦略的投資**」として、経営の土俵で議論できるようになるのです。
以下のツールは、WHO(世界保健機関)や東京大学の研究アプローチを参考に、貴社の「見えないコスト」を簡易的に算出するシミュレーターです。自社の状況を入力し、具体的な損失額を把握してみましょう。
従業員の心身の不調による経済的損失額を簡易的に算出します。
健康経営への投資がいかに重要か、具体的な数値で把握しましょう。
貴社の「見えないコスト」合計は...
年間 約 万円
の経済的損失に相当する可能性があります。
約 万円
(内訳: 賃金損失 万円, 生産性損失 万円)
約 万円
(不調を抱えながらの勤務による生産性低下)
本シミュレーターは、以下の学術的・専門的な知見を基に開発されています。
・アブセンティーイズム:従業員の賃金に加え、周囲への業務影響などを含む「間接コスト」を考慮した総損失モデルを採用しています。
・プレゼンティーイズム:WHO(世界保健機関)や東京大学の研究で用いられる測定アプローチを参考に、簡易的に損失額を推定するモデルを採用しています。
※本シミュレーションは簡易計算であり、実際の損失額を保証するものではありません。
シミュレーションお疲れ様でした。算出された「合計損失額」は、予想以上の金額だったかもしれません。この数字を正しく理解し、次の一手につなげるためのポイントを解説します。
算出された「見えないコスト」は、経営層を説得するための強力な武器です。この客観的なデータを基に、次のようなストーリーで健康投資を提案しましょう。
【提案ストーリー例】
「現在、当社の従業員の健康問題による年間経済的損失は、年間約〇〇万円と試算されます。特に、生産性低下による損失(プレゼンティーイズム)がその大半を占めています。
そこで、年間〇〇万円を投資し、〇〇という健康施策を実施します。これにより、まずはプレゼンティーイズム損失の10%にあたる〇〇万円の削減を目指します。これは、コストではなく、将来の生産性を確保するための戦略的投資です。」
健康経営を“掛け声”だけで終わらせないためには、その価値を具体的な「数字」で語ることが不可欠です。「見えないコスト」を可視化することは、健康経営をデータに基づいた経営戦略へと昇華させるための、最も重要な第一歩と言えるでしょう。
「自社の損失額は分かったが、具体的にどんな施策が効果的なのか知りたい」
「算出したデータを基に、専門家と一緒に経営層への提案資料を作成したい」
ウェルネスドアが、貴社の課題と予算に合わせた最適な投資プランをご提案します。
【監修】
ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学(かりの まなぶ)
エキスパートインサイト 専門家チーム