従業員の生産性低下、原因は5つの「隠れ不調」?データで始める具体的対策

この記事のポイント

  • 従業員の生産性低下(プレゼンティーイズム)には、「睡眠」「メンタル」「食事」「身体の痛み」「女性特有の不調」という具体的な5つの原因がある。
  • 各要因に対して、企業が取り組める具体的な施策やアプローチが存在する。
  • ただし、やみくもな施策は非効率。自社の「本当の優先課題」をデータで特定することが、健康経営成功の鍵となる。

「最近、従業員に元気がない気がする」「会議でのアイデアが減ったかもしれない」

経営者や人事担当者の方が感じるこうした“なんとなくの違和感”は、気のせいではありません。それは、出社していても本来のパフォーマンスを発揮できていない状態、**「プレゼンティーイズム」**による生産性低下のサインです。

しかし、「プレゼンティーイズムを改善しよう」と考えても、その原因が曖昧では有効な打ち手は打てません。この記事では、数多くの企業データから見えてきた、生産性を蝕む**5つの具体的な「隠れ不調」**を特定し、それぞれに対する企業の対策を専門家の視点で解説します。

生産性を下げる5つの隠れた要因

要因1:静かなる生産性の敵「睡眠負債」

睡眠不足は、集中力、判断力、記憶力を直接的に低下させます。慢性的な睡眠不足、いわゆる「睡眠負債」を抱えた従業員は、日中の眠気だけでなく、ケアレスミスの増加や創造性の欠如といった形で業務に影響を及ぼします。

【施策のヒント】 睡眠に関するセミナーの開催、時差出勤やフレックスタイムの活用推奨、仮眠スペースの設置など。

要因2:見過ごせない「メンタル面の不調」

ストレスや不安感は、従業員の意欲(ワークエンゲージメント)を削ぎ、チーム全体の雰囲気を悪化させることもあります。特に、人間関係の悩みや過度な業務負荷は、メンタル不調の引き金となりやすく、放置すれば休職や離職に繋がるリスクも抱えています。

【施策のヒント】 ストレスチェックの活用、管理職向けのラインケア研修、相談窓口(EAP)の設置、1on1ミーティングの質の向上など。

要因3:パフォーマンスを左右する「食生活の乱れ」

昼食を菓子パンやカップ麺で済ませていませんか?糖質に偏った食事は、食後の急激な血糖値上昇と、その後の眠気を引き起こします。また、栄養バランスの乱れは、長期的に見て生活習慣病のリスクを高め、企業の医療費負担増にも繋がります。

【施策のヒント】 ヘルシーな弁当の宅配サービス導入や食事補助、オフィスへの健康的な間食(ナッツ、果物など)の設置、食生活改善セミナーの実施など。

要因4:集中力を奪う「肩こり・腰痛」

デスクワーク中心の職場で非常に多いのが、肩こりや腰痛といった身体的な痛みです。これらの不調は、作業への集中を妨げるだけでなく、慢性化すると通院による業務の中断(アブセンティーズム)の原因にもなります。

【施策のヒント】 人間工学に基づいた椅子やデスクの導入、専門家によるストレッチ講座の開催、定期的な休憩取得の推奨(ポモドーロテクニック等)など。

要因5:タブー視されがちな「女性特有の健康課題」

月経前症候群(PMS)や更年期障害など、女性特有の不調は、業務パフォーマンスに大きく影響するにも関わらず、職場で話題にしにくいテーマです。理解や配慮の不足が、優秀な女性従業員の活躍を妨げ、離職に繋がるケースも少なくありません。

【施策のヒント】 フェムテック関連セミナーによるリテラシー向上、柔軟に利用できる特別休暇制度の整備、オンラインでの婦人科相談サービスの提供など。

では、何から手をつけるべきか?

5つの要因を挙げましたが、ここで重要な問いが生まれます。「我が社にとって、最も優先すべき課題はどれなのか?」

睡眠に課題を抱える従業員が多いのか、それとも食生活の乱れが深刻なのか。これを**“感覚”で判断し、やみくもに施策を打つのは非効率**であり、コストの無駄遣いになりかねません。健康経営を成功させる鍵は、自社の「本当の課題」を客観的なデータで正確に把握することにあります。

自社の「本当の健康課題」をデータで見つけませんか?

ウェルネスドアの「みえるけんこう」は、匿名のサーベイを通じて、今回ご紹介したような「生活習慣(食・運動・睡眠 等)」や「メンタル状態」を数値で可視化します。組織のどこに、どのような健康課題が潜んでいるのかをデータで的確に把握し、効果的な施策立案の第一歩を力強くサポートします。

【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としています。具体的な施策の導入にあたっては、各企業の状況に合わせて専門家にご相談ください。