人口5千人の村でも実践!中小企業だからこそ勝てる「我が社流」健康経営の始め方

この記事のポイント

  • 「健康経営は大企業のもの」という思い込みが、データを見て覆ります。
  • コストや人員をかけずに、明日から始められる具体的なファーストステップがわかります。
  • 中小企業の強み(柔軟性・一体感)を活かした、独自の健康経営の作り方が理解できます。
  • 大企業の真似ではない、「身の丈に合った」取り組みで地域No.1を目指すヒントが得られます。

「健康経営なんて、お金も人もかかるし、うちみたいな小さい会社には無理だよ…」

もしそう思われているなら、非常にもったいないかもしれません。実は、健康経営は会社の規模に関係なく実践でき、むしろ中小企業だからこそ大きな成果を上げられる可能性があるのです。

この記事では、「健康経営は大企業のもの」という思い込みを払拭し、多額のコストをかけずに始められる、中小企業の強みを活かした実践的なアイデアを3つのステップでご紹介します。

事例:データが示す「会社の規模は関係ない」という事実

論より証拠。まずはデータをご覧ください。

人口約4,600人の愛知県飛島村で、4社が認定

これは、大都市圏だけでなく、小規模な町村においても健康経営が実践され、公式に認められていることを示しています。他にも、福島県楢葉町(人口約3,700人)で4社、長野県小海町(人口約4,300人)で2社が認定されており、企業の所在地や規模はハンデにならないことがわかります。

彼らは特別な予算や専任担当者がいたわけではありません。自社の状況に合わせて、できることから始めた結果なのです。

中小企業だから勝てる!「我が社流」健康経営 3つのステップ

STEP 1:コストゼロから始める「現状把握」

最初からお金をかける必要はありません。まずは自社の「健康課題」を知ることから始めましょう。

  • 無料のストレスチェック:従業員50人未満の事業場は努力義務ですが、多くのサービスが無料で提供されています。まずは専門機関の力を借りて、職場のストレス状況を把握しましょう。
  • 朝礼でのミニ会話:「最近よく眠れてる?」「週末は運動した?」など、社長やリーダーが意識的に健康に関する声かけをするだけでも、社内の雰囲気は変わります。
  • 匿名アンケート:「会社にどんな健康支援があったら嬉しい?」という簡単なアンケートを、匿名の紙やWebフォームで実施。従業員のリアルな声を集めましょう。

STEP 2:地域の資源をフル活用する

特に地方企業は、身近にある地域の資源を使わない手はありません。

  • 自治体の保健センターに相談:多くの自治体では、企業向けの健康相談や専門家(保健師・管理栄養士)の派遣を無料または安価で行っています。
  • 地元の専門家と連携:地域の管理栄養士やスポーツインストラクターに依頼し、昼休みを使った15分のストレッチ講座や栄養セミナーを開催。地元の専門家なら、謝礼も柔軟に相談できる可能性があります。

STEP 3:中小企業の「強み」を活かす

社長と従業員の距離の近さ、意思決定の速さ、一体感。これこそが中小企業の最大の武器です。

  • 社長自らが「健康アンバサダー」に:社長が率先してウォーキングを始めたり、健康診断の結果を(可能な範囲で)共有したりする姿は、何よりのメッセージになります。
  • アットホームな健康イベント:大企業には真似できない、家族も参加できるBBQやラジオ体操、地域の清掃活動などを企画。コミュニケーションの活性化が、メンタルヘルスの向上に直結します。

結論:「身の丈に合った」健康経営が最強の武器になる

健康経営の成功に、企業の規模や予算は関係ありません。大切なのは、大企業の真似をするのではなく、自社の課題と向き合い、従業員の声に耳を傾け、できることから一歩を踏み出すことです。

「身の丈に合った」温かい健康経営こそが、従業員のエンゲージメントを高め、地域で愛され、人が集まる中小企業の最大の武器になります。

【情報源】
・経済産業省 健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定法人一覧」等を基に株式会社帝国データバンクが作成したデータを活用