保存版|日本の健康統計データ。
年代・性別で見る生活習慣の平均値まとめ【厚生労働省調査より】

この記事のポイント

  • 厚生労働省の最新調査に基づく、日本人の健康に関する公式データがわかる
  • 肥満率、睡眠時間、運動習慣などを年代別・男女別で全国平均と比較できる
  • 特に健康リスクが高まる年代とその背景にある生活習慣が理解できる
  • ご自身の健康状態を客観的に見直し、具体的な改善策を考えるきっかけになる

「自分は平均と比べてどうなのだろう?」

健康診断の結果や日々の生活習慣について、ふとそう感じたことはありませんか。今回、厚生労働省が発表した最新の「国民健康・栄養調査」などの公式データをもとに、現代日本の「健康のリアル」を徹底的に解き明かしていきます。

これからご覧いただくのは、単なる統計データではありません。私たち一人ひとりの生活が映し出された鏡です。この鏡にご自身の姿を映し、生活習慣を客観的に振り返るための完全ガイドとしてご活用ください。


1. 体格:見過ごせない肥満のシグナル

まず、健康の土台となる体格(BMI)から見ていきましょう。肥満(BMI25以上)は多くの生活習慣病のリスクを高める重要な指標です。

【男女別:肥満者の割合】

男性: 31.7%
女性: 22.0%

【性別・年代別:肥満者の割合】

年代 男性 女性
20代 25.1% 11.5%
30代 34.0% 16.4%
40代 39.7% 21.0%
50代 39.2% 23.9%
60代 31.9% 28.1%
70代以降 25.4% 25.8%

(出典: 令和4年 国民健康・栄養調査)

Q. 日本人で最も肥満が多いのはどの世代ですか? A. 男性では40代(39.7%)、女性では60代(28.1%)です。特に30代〜50代の男性は3人に1人以上が肥満に該当します。

【詳細分析】

このデータは、特に30代から50代の男性が「生活習慣病の危険ゾーン」にいることを明確に示しています。20代の頃と同じ食生活を続けていても、加齢と共に基礎代謝は低下します。そこにデスクワーク中心の生活、会食や飲酒機会の増加、運動不足が重なることで、体重が急増しやすいのです。この時期の肥満は、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった疾患へ直結する、最も警戒すべきサインと言えます。
一方、女性は加齢とともに、特に閉経期以降のホルモンバランスの変化により脂質代謝が変わり、体重が増加しやすい傾向にあります。20代女性では逆に「やせ(低体重)」の割合が高いという別の問題も存在し、ライフステージに応じた体格管理の重要性がうかがえます。


2. 食事① 野菜摂取量:静かなる栄養失調

次に、体を作る基本である食事です。健康維持の目標「1日350g」に対し、私たちの野菜摂取量はどのくらいなのでしょうか。

【男女別:1日の平均野菜摂取量】

男性: 262.2 g
女性: 250.6 g

【性別・年代別:1日の平均野菜摂取量】

年代 男性 女性
20代 224.2 g 211.7 g
30代 231.9 g 215.1 g
40代 239.5 g 238.4 g
50代 256.7 g 260.6 g
60代 309.2 g 291.6 g
70代以降 307.3 g 287.1 g

(出典: 令和5年 国民健康・栄養調査)

Q. 日本人はどのくらい野菜が足りていませんか? A. 全世代で国の目標(350g)に約100g不足しています。特に20代は男女とも摂取量が最も少なく、深刻な野菜不足です。

【詳細分析】

若者世代(20代・30代)の深刻な野菜不足は、食生活の変化を象徴しています。ラーメンや丼物、パスタといった「単品食べ」の習慣、自炊の機会減少、野菜の価格などが背景にあると考えられます。これにより、食物繊維やビタミン、ミネラルが慢性的に不足し、便秘や肌荒れだけでなく、長期的には生活習慣病のリスクを高める「静かな栄養失調」状態に陥りやすいのです。
60代以降で摂取量が増加するのは、退職などを機に時間に余裕ができ、健康への意識が高まるためと推測されます。しかし、その世代ですら目標値に届いていないことは、日本全体の食生活における構造的な課題を示唆しています。


3. 食事② 食塩摂取量:伝統に潜むリスク

高血圧の最大の原因となる食塩。国の目標値(男性7.5g未満、女性6.5g未満)と比較してみましょう。

【男女別:1日の平均食塩摂取量】

男性: 10.5 g
女性: 9.0 g

【性別・年代別:1日の平均食塩摂取量】

年代 男性 女性
20代 10.6 g 8.3 g
30代 10.4 g 8.5 g
40代 10.6 g 8.9 g
50代 10.6 g 9.2 g
60代 11.5 g 10.0 g
70代以降 11.0 g 9.6 g

(出典: 令和4年 国民健康・栄養調査)

Q. 日本人の食塩摂取量はなぜ多いのですか? A. 味噌汁、醤油、漬物、麺類の汁など、日常的な和食や外食に塩分が多いためです。全世代で国の目標を大幅に超えています。

【詳細分析】

全世代で目標を大幅に超過している事実は、日本の食文化に深く根ざした課題を浮き彫りにします。味噌汁、醤油、漬物といった伝統的な和食や、ラーメン・うどんの汁など、日常的な食事に多くの塩分が含まれています。特に60代で摂取量がピークに達するのは、長年の食習慣の蓄積と言えるでしょう。
塩分の過剰摂取は、自覚症状がないまま血管にダメージを与え、数十年かけて高血圧、そして脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こします。「おいしさ」と「健康」のバランスをどう取るか、社会全体で向き合うべきテーマです。


4. 運動:失われる「動く」習慣

健康維持の両輪の一つ、運動習慣(1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続)を見ていきます。

【男女別:運動習慣者の割合】

男性: 36.2%
女性: 28.6%

【性別・年代別:運動習慣者の割合】

年代 男性 女性
20代 27.2% 14.5%
30代 23.5% 18.0%
40代 30.7% 23.4%
50代 35.8% 26.6%
60代 47.1% 38.3%
70代以降 51.5% 45.4%

(出典: 令和5年 国民健康・栄養調査)

Q. 最も運動習慣がないのはどの世代ですか? A. 男性では30代(23.5%)、女性では20代(14.5%)です。仕事や育児などで多忙な時期に運動から離れてしまう傾向があります。

【詳細分析】

30代男性と20代女性で運動習慣が著しく低下する「運動離れ」が顕著です。これは、就職、結婚、出産といったライフステージの変化と深く関連しています。長時間労働や通勤、育児に追われ、運動のための時間と心の余裕を確保することが極めて困難になるのです。
一方で、60代以降に割合がV字回復するのは、退職によって自分の時間を取り戻し、健康への関心が高まるためです。しかし、若い頃に失われた運動習慣や体力は簡単には戻りません。働き盛りの世代がいかに日常生活の中に運動を取り入れるかが、将来の健康寿命を延ばす鍵となります。


5. 睡眠:「サンドイッチ世代」の睡眠負債

もう一方の車輪である睡眠。心身の回復に不可欠ですが、多くの人が十分な時間を確保できていません。

【男女別:睡眠時間が6時間未満の人の割合】

男性: 38.5%
女性: 43.6%

【性別・年代別:睡眠時間が6時間未満の人の割合】

年代 男性 女性
20代 37.7% 43.1%
30代 45.7% 46.5%
40代 48.5% 53.0%
50代 48.2% 52.8%
60代 28.4% 31.9%
70代以降 18.6% 21.0%

(出典: 令和5年 国民健康・栄養調査)

Q. 日本で最も睡眠時間が短いのはどの世代ですか? A. 40代・50代です。この世代の約半数が6時間未満の睡眠しか取れておらず、特に女性の睡眠不足が深刻です。

【詳細分析】

40代・50代の「睡眠クライシス」は極めて深刻です。この世代は、職場で重責を担い、家庭では子育てや親の介護に直面する「サンドイッチ世代」と重なります。特に女性の割合が男性を上回っているのは、仕事に加えて家事・育児・介護の負担が女性に偏りがちな現状を反映している可能性があります。
睡眠不足は単なる眠気だけでなく、集中力や判断力の低下、免疫力の低下、さらにはうつ病や生活習慣病のリスクを増大させます。この世代の睡眠確保は、個人の問題だけでなく、社会全体の生産性に関わる重要課題です。


6. 嗜好品① 喫煙:特定の世代に残る根強い習慣

健康への影響が明確な喫煙習慣。その現状はどうでしょうか。

【男女別:習慣的喫煙者の割合】

男性: 25.6%
女性: 6.9%

【性別・年代別:習慣的喫煙者の割合】

年代 男性 女性
20代 20.3% 6.2%
30代 32.1% 10.0%
40代 34.0% 11.5%
50代 31.1% 8.2%
60代 21.7% 4.7%
70代以降 13.7% 2.5%

(出典: 令和5年 国民健康・栄養調査)

Q. 日本で喫煙率が最も高いのはどの層ですか? A. 40代男性(34.0%)です。30代から50代の男性では、依然として約3人に1人が喫煙者という高い水準です。

【詳細分析】

社会全体の禁煙化が進む中で、30代から50代の男性における高い喫煙率は際立っています。この世代が若者だった頃は喫煙に対する社会的許容度が高く、一度身についた習慣から抜け出すのが難しい層が一定数存在することを示唆しています。
また、この世代は仕事上のストレスがピークに達する時期でもあり、喫煙がストレス対処の手段として定着してしまっているケースも少なくありません。受動喫煙の問題も含め、この世代への集中的な禁煙支援が今後の課題となります。


7. 嗜好品② 飲酒:変化する飲酒リスクの形

最後に、生活習慣病リスクを高める量(1日あたり純アルコールで男性40g以上、女性20g以上)の飲酒をしている人のデータです。

【男女別:リスクの高い飲酒者の割合】

男性: 14.1%
女性: 9.5%

【性別・年代別:リスクの高い飲酒者の割合】

年代 男性 女性
20代 13.9% 9.0%
30代 17.5% 11.6%
40代 23.6% 12.3%
50代 16.5% 14.6%
60代 11.6% 7.9%
70代以降 5.1% 2.5%

(出典: 令和5年 国民健康・栄養調査)

Q. 生活習慣病リスクの高い飲酒者が多いのはどの世代ですか? A. 男性は40代(23.6%)、女性は50代(14.6%)がピークです。特に女性の飲酒率は近年増加傾向にあります。

【詳細分析】

40代男性でリスクの高い飲酒が突出しているのは、仕事上の付き合いやストレスが最大化する年代であることを反映しているでしょう。一方で、より注目すべきは女性の飲酒リスクの高まりです。特に50代でピークを迎え、全体でもこの10年で割合が有意に増加しています。これは女性の社会進出やライフスタイルの変化に伴い、飲酒が日常的な習慣として浸透してきたことの表れです。女性は男性に比べてアルコールの影響を受けやすく、少量でも乳がんなどのリスクを高めることが知られており、新たな健康課題として社会的な認識が必要です。


まとめ:データという客観的な鏡を、未来のために

ここまで詳細なデータと分析を見てきて、ご自身の状況と重なる部分はありましたか。これらの数値は、今の日本の、そして私たち自身の姿です。課題が集中しやすい働き盛りの世代も、これからその年代を迎える若い世代も、この客観的なデータを「自分ごと」として捉えることが、より良い未来への第一歩となります。

まずは一つのデータに注目し、改善の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。その小さな選択が、明日の、そして10年後のあなたを確実に変えていくはずです。

この記事の監修者

狩野 学 (Manabu Karino)

ウェルネスドア合同会社 代表
アメリカスポーツ医科学会認定トレーナー (ACSM-CPT)
企業や個人向けに、専門的な知見に基づいた健康経営支援、栄養指導、フィットネスプログラムを提供。科学的根拠に基づいた、継続可能な健康ソリューションを提案している。

【データソースの最終確認】
本コラムで紹介した数値は、主に厚生労働省が2024年(令和6年)および2025年(令和7年)に公表した「令和5年 国民健康・栄養調査」および「令和4年 国民健康・栄養調査」の結果に基づいています。これらは、本稿作成時点(2025年8月)で利用可能な最新の公式統計データです。