なぜ女性は「隠れ貧血」になりやすい?だるさ・疲れの原因「フェリチン不足」を食事で改善

「しっかり寝ているはずなのに、朝からぐったり…」
「立ち上がるとクラっとすることがある」
「理由もなく気分が落ち込み、仕事に集中できない」

そんなつらい不調、単なる「疲れ」や「気力不足」のせいだと思い込んでいませんか?実はその裏に、多くの女性、特に月経のある世代を悩ませる**「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)」**が潜んでいるかもしれません。

会社の健康診断では「貧血は問題なし」と言われた方でも、この「隠れ貧血」に該当するケースは少なくありません。この記事では、専門家の視点からその正体と、日々の食事でできる改善アプローチを徹底解説します。

「貧血」と「隠れ貧血」は何が違う?

一般的な健康診断で測定する「貧血」は、血液中の**ヘモグロビン**の値を基準にしています。ヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ重要な役割を担う、いわば「今すぐ使える鉄」です。

一方、「隠れ貧血」で問題となるのは**「フェリチン」**という物質です。フェリチンは、体内に貯蔵されている「予備の鉄」、いわば**「鉄の貯金」**です。健康診断でヘモグロビン値が正常でも、この「鉄の貯金(フェリチン)」が底をつきかけている状態が「隠れ貧血」なのです。

🏦 **お金に例えると…**
ヘモグロビン = 財布の中の現金
フェリチン = 銀行口座の預金
財布に現金(ヘモグロビン)があっても、預金(フェリチン)がゼロなら、急な出費に対応できず、常に不安な状態ですよね。身体も同じで、「鉄の貯金」が少ないと、様々な不調が現れ始めるのです。

女性は月経による定期的な出血や、妊娠・出産による鉄需要の増大、過度なダイエットなどにより、この「鉄の貯金」が減りやすい傾向にあります。

もしかして「隠れ貧血」?セルフチェックリスト

当てはまる項目が多いほど、鉄不足の可能性があります。
(医学的な診断ではありません。気になる方は医療機関にご相談ください)

  • 疲れやすく、だるさが抜けない
  • 立ちくらみや、めまいがする
  • 動悸や息切れがする
  • 頭痛がよくある
  • 集中力が続かない
  • 爪が割れやすい、スプーンのように反る
  • 髪の毛が抜けやすい
  • アザができやすい
  • 氷が無性に食べたくなる(異食症)

「鉄の貯金」を増やす!食事改善3つの鉄則

鉄不足を解消するには、毎日の食事が基本です。効率よく鉄分を補給するための3つのルールを覚えましょう。

鉄則1:吸収率の高い「ヘム鉄」を積極的に摂る

鉄分には、動物性食品に含まれ吸収率の高い「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。まずは、効率よく吸収されるヘム鉄を意識的に食事に取り入れましょう。
【豊富な食品】 レバー、牛肉(赤身)、カツオ、マグロ、あさり など

鉄則2:「非ヘム鉄」は “吸収率アップ” の工夫をする

ほうれん草や小松菜、大豆製品などに含まれる非ヘム鉄は、ある栄養素と組み合わせることで吸収率が格段にアップします。
・ビタミンCと一緒に:レモン汁、パプリカ、ブロッコリーなど。
→ 例:ほうれん草のおひたしにレモンを絞る、パプリカ入りの豆腐サラダ
・動物性たんぱく質と一緒に:肉や魚と一緒に食べることで吸収率が向上します。
→ 例:豚肉と小松菜の炒め物

鉄則3:鉄の吸収を「邪魔するもの」に注意する

食事中や食後すぐのコーヒー、緑茶、紅茶は避けましょう。これらに含まれる「タンニン」という成分が、鉄分の吸収を妨げてしまいます。飲む場合は、食後1時間以上経ってからがおすすめです。

【専門家からのアドバイス】
食事での改善は基本ですが、フェリチン値が極端に低い場合は、食事だけで回復させるのは時間がかかります。つらい症状が続く場合は、必ず医療機関を受診してください。医師の診断のもと、適切な鉄剤の服用などが必要になることもあります。

エネルギッシュな毎日は、正しい食事から

「自分の食生活を見直して、根本から体質改善したい」
「従業員のパフォーマンス向上のため、栄養指導を取り入れたい」
ウェルネスドアの管理栄養士が、一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事プランをご提案します。

【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。鉄分の自己判断での過剰摂取は健康を害する可能性もありますので、サプリメントの使用などについては必ず医師にご相談ください。

【主な情報源】
・厚生労働省 e-ヘルスネット「貧血の予防には、まずは普段の食生活から」
・一般社団法人 日本鉄バイオサイエンス学会