年に一度の健康診断。結果票を受け取ったはいいものの、専門用語と数字の羅列に「よくわからない…」と感じ、A,B,Cの総合判定だけを見て、引き出しの奥にしまい込んでいませんか?
「忙しくてじっくり見る時間がない」「悪い結果だったら怖いから見たくない」…。そう思う気持ちもよく分かります。しかし、その結果票は、今のあなたの体が送ってくれた「未来の健康を守るための大切な手紙」です。特に「C判定(要経過観察)」は、生活習慣を見直すことで、将来の大きな病気を防げる最後のチャンスかもしれません。
この記事では、「何から見ればいいかわからない」という方のために、健康診断のプロが「最低限これだけはチェックすべき5つの重要サイン」を、誰にでもわかる簡単な言葉で徹底解説します。さらに、ご自身の数値を入力するだけで、**あなた専用の詳しいフィードバックと具体的な改善策がわかる無料ツール**もご用意しました。この1記事を読めば、健康診断の結果が「自分ごと」に変わります。
まずは、このアルファベットが示す意味を正しく理解しましょう。これは単なる成績ではなく、あなたの体からのメッセージの「重要度」を示しています。
【健康経営担当者様へ】
従業員のC判定・D判定の割合は、組織全体の健康課題を示す重要なデータです。例えば「肝機能でC判定の従業員が多い」場合、飲酒や食生活に関するセミナーを企画するなど、戦略的な健康施策の立案に繋がります。
数ある項目の中から、特に生活習慣病と密接に関わる5つのサインをピックアップ。その意味と、よくある誤解を解説します。
血圧が高い状態が続くと、血管(水道管)は常に張り詰め、次第に傷んで硬くなる「動脈硬化」が進行します。自覚症状がないため「サイレントキラー」とも呼ばれ、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす原因となります。
チェックポイント:最高血圧が130以上、または最低血圧が85以上は「要注意」です。
【よくある誤解】「病院で測るといつも高いだけ」。それは「白衣高血圧」かもしれませんが、逆に家庭では高い「仮面高血圧」も存在します。家庭での血圧測定を習慣にすることが大切です。
LDLコレステロールは「悪玉」と呼ばれ、増えすぎると血管の壁にヘドロのようにこびりつき、動脈硬化を進めます。自覚症状がないまま静かに進行し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
チェックポイント:140以上で「高値」とされ、注意が必要です。
【よくある誤解】「脂っこいものは食べないから大丈夫」。実は、コレステロール値は食事だけでなく、遺伝や運動不足、さらには糖質の摂りすぎも影響します。
空腹時血糖が「その日のテスト」なら、HbA1cは「過去1〜2ヶ月間の平均点」。この数値が高いと、慢性的に高血糖状態が続き、血管がじわじわと傷つけられている証拠。糖尿病の重要な指標です。
チェックポイント:5.6%を超えると、糖尿病予備群の可能性が出てきます。
【よくある誤解】「健診前日だけ食事を抜けば大丈夫」。HbA1cは過去の平均値なので、一夜漬けの対策は通用しません。日々の食生活がそのまま反映されます。
ALTは、肝臓の細胞が壊れると血液中に漏れ出す酵素です。肝臓は異常があっても症状が出にくいため「沈黙の臓器」と呼ばれます。ALTの上昇は、肝臓からの数少ない貴重なSOSサインです。
チェックポイント:31以上は「要注意」のサインです。
【よくある誤解】「お酒を飲まないから肝臓は大丈夫」。近年、飲酒習慣がなくても糖質や脂質の摂りすぎで肝臓に脂肪が溜まる「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」が急増しています。
BMIは肥満度の指標、腹囲は内臓脂肪の蓄積具合を示します。特に内臓脂肪は生活習慣病の元凶。これらが基準値を超え、血圧・血糖・脂質の異常が重なると、心筋梗塞などのリスクが飛躍的に高まります。
チェックポイント:BMIが25以上、腹囲が男性85cm・女性90cm以上は、生活習慣病の入り口です。
【よくある誤解】「体重は少しオーバーしてるだけ」。体重が同じでも、筋肉質なのか脂肪が多いのかで意味は全く違います。腹囲と合わせてチェックすることが重要です。
このツールは、あなたの健康診断結果が示す意味を読み解き、日々の生活を振り返るためのヒントを提供します。
本ツールの判定ロジックやフィードバックは、厚生労働省「e-ヘルスネット」、日本人間ドック学会、および各専門領域の診療ガイドラインなど、信頼性の高い情報源を基に作成されています。
表示される内容は、あくまで一般的な情報提供であり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。健康に関する最終的な判断は、必ず医師や専門家にご相談ください。
すべての項目を入力する必要はありません。気になる項目(例:血圧のみ、肝機能のみなど)を一つだけ入力して、フィードバックを確認することも可能です。
このツールはご自身の健康を「自分ごと」として捉えるための第一歩です。ウェルネスドアでは、従業員の皆様に向けた「健康診断の読み方セミナー」も開催しています。専門家が結果の見方を直接解説し、皆様の疑問にお答えすることで、組織全体のヘルスリテラシー向上をサポートします。
【主な情報源・出典】
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・日本人間ドック学会「判定区分」
・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」