「社員は出社しているのに、なぜか組織の活気がない…」
「リモートワークが普及し、従業員のコンディションが見えにくくなった…」
健康経営を推進する中で、こうした漠然とした課題感をお持ちではないでしょうか。その原因は、近年注目されている**「プレゼンティーイズム」**にあるかもしれません。
プレゼンティーイズムとは、何らかの健康問題(肩こり、睡眠不足、メンタル不調など)を抱えながら出勤し、本来発揮できるはずのパフォーマンスが低下している状態を指します。
病気で会社を休む「アブセンティーイズム(欠勤)」とは異なり、本人は出社しているため、周囲からも本人からも問題として認識されにくいのが特徴です。
しかし、複数の調査研究により、プレゼンティーイズムによる企業の経済的損失は、アブセンティーイズムによる損失の数倍にのぼることが指摘されており、企業の生産性を静かに蝕む「見えないコスト」として問題視されています。
「測れないものは改善できない」――これは、経営における鉄則です。プレゼンティーイズムを測定することで、初めて組織の健康課題を客観的に把握し、的を射た対策を講じることができます。
測定によって、①課題の客観的把握、②施策の効果検証、③経営層への説明責任、といったメリットが得られ、健康経営を戦略的に推進する土台が築かれます。
これからご紹介するツールは、個人の労働生産性を簡潔に測定する「SPQ(東大1項目版)」と、心身の不調が仕事の機能に与える影響を多角的に測定する「WFun(産医大版)」という、信頼性の高い指標を統合しています。
それでは、実際にツールを使って現在のあなたの状態を測定してみましょう。ご自身の率直な感覚でお答えいただくことが、最適なアドバイスに繋がります。個人の結果が許可なく他者へ共有されることはありませんので、ご安心ください。
この診断では、2つのステップの回答を組み合わせ、あなたの現在の状態を4つのタイプに分類します。
本ツールは、信頼性の高い以下の学術的指標に基づき開発されています。
過去4週間のご自身の状態について、最も当てはまるものを1つずつ選んでください。
パフォーマンスの自己評価が高く、実際の労働機能も良好な、最も望ましい状態です。
素晴らしいコンディションです。現在の良い習慣を維持しつつ、新たな挑戦で更なる成長を目指しましょう。
この層は組織の重要な資産です。彼らが働きがいを感じ続けられるよう、適切な評価と挑戦機会の提供が人材定着に繋がります。
責任感の強さから、心身の負担を自身の力でカバーし、高いパフォーマンスを維持している状態です。放置すれば燃え尽き症候群に繋がる可能性があり、注意深いセルフケアが必要です。
最も重要な予防的アプローチが必要な層です。管理職は1on1等で業務負荷を確認し、休暇取得を積極的に推奨してください。バーンアウト予防研修の企画も有効です。
ご自身のコンディションは良好であるにも関わらず、パフォーマンスが発揮できていないと感じている状態です。原因はご自身の中ではなく、外部環境にある可能性を示唆しています。
個人の健康問題ではなく、マネジメントや組織運営の課題です。職場環境に関するワークショップを開催するなど、働きやすさを阻害する要因の特定と改善が求められます。
パフォーマンスの自己評価が低く、その原因がご自身の心身のコンディションにあることを自覚している状態です。
まずは心と体の回復を最優先してください。無理は禁物です。会社の相談窓口や産業医など、専門家のサポートを積極的に活用しましょう。
治療と仕事の両立支援制度の周知や、安心して休める職場風土の醸成、復職支援プログラムの整備が重要です。この層へのサポート体制は企業の健康経営への姿勢が問われます。
診断お疲れ様でした。測定はゴールではなく、改善へのスタート地点です。診断結果のタイプ別に、個人としてできること、そして企業として取り組むべき施策のヒントをご紹介します。
個人:現在の素晴らしい状態を維持することが目標です。自身の強みや価値観を再認識し、新たな挑戦を続けることが更なる成長に繋がります。
組織:この層は組織のエンジンです。働きがいを感じ続けられるよう、適切な評価制度や挑戦機会の提供が、人材の定着(リテンション)に不可欠です。
個人:責任感の強さが、不調のサインを見過ごさせているかもしれません。意識的に休息を取り、完璧主義を少しだけ手放す勇気を持ちましょう。
組織:バーンアウト(燃え尽き症候群)の最重要予備軍です。管理職による1on1での業務負荷の確認や、積極的な休暇取得の推奨が急務です。
個人:不調の原因は、あなた自身ではなく職場環境にある可能性が高いです。パフォーマンスを妨げている要因を整理し、上司に相談してみましょう。
組織:これは個人の健康問題ではなく、マネジメントの課題です。エンゲージメントサーベイや職場環境改善ワークショップ等で、働きやすさを阻害する要因を特定・改善する必要があります。
個人:今は何よりも心と身体の回復を最優先してください。会社の相談窓口や産業医など、利用できるサポートは積極的に活用しましょう。
組織:この層へのサポート体制は、企業の健康経営への姿勢そのものです。安心して休める風土の醸成、相談窓口の周知、復職支援プログラムの整備が求められます。
プレゼンティーイズムの測定は、従業員の健康状態という「見えない資産」を可視化し、企業の持続的な成長に繋げるための重要な第一歩です。
今回の診断結果をきっかけに、従業員一人ひとりが自身の働き方を見つめ直し、組織全体で「より健康で、より生産性の高い職場」を目指していきましょう。
「測定結果をどう解釈し、具体的な施策に落とし込めばいいか分からない」
「従業員の健康リテラシーを高めるセミナーを開催したい」
ウェルネスドアの専門家が、貴社の課題に合わせた最適なプランをご提案します。
【監修】
ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学(かりの まなぶ)
エキスパートインサイト 専門家チーム