「健康経営」への関心が全国的に高まる中、「自社が拠点とする地域では、どれくらい取り組みが進んでいるのだろう?」と気になっている経営者の方も多いのではないでしょうか。
実は、健康経営への取り組みには地域ごとに大きな差があり、その動向を理解することは、採用活動や企業ブランディングにおける重要な差別化戦略のヒントになります。
この記事では、最新の「健康経営優良法人」認定データを基に、全国の傾向を読み解き、地域で一歩先を行くための考え方を専門家の視点から深く掘り下げて解説します。
まず、全国約1,700の市区町村における認定法人数のランキングを見てみましょう(2024年3月時点)。自社の所在地や、競合の多いエリアがどの位置にあるか、ぜひご確認ください。
【全国市区町村別 認定法人数 TOP20】
1位:大阪府 大阪市 (1,184社)
2位:愛知県 名古屋市 (686社)
3位:岡山県 岡山市 (237社)
4位:京都府 京都市 (233社)
5位:北海道 札幌市 (223社)
6位:宮城県 仙台市 (214社)
7位:兵庫県 神戸市 (202社)
8位:広島県 広島市 (196社)
9位:神奈川県 横浜市 (193社)
10位:東京都 千代田区 (185社)
11位:静岡県 浜松市 (169社)
12位:福岡県 福岡市 (167社)
13位:東京都 港区 (159社)
14位:東京都 中央区 (151社)
15位:鹿児島県 鹿児島市 (143社)
16位:熊本県 熊本市 (140社)
17位:長野県 長野市 (134社)
18位:大阪府 東大阪市 (130社)
19位:広島県 福山市 (128社)
20位:岡山県 倉敷市 (124社)
大阪市、名古屋市が突出していますが、全体的には大都市や各地方の中核都市が上位を占めていることがわかります。しかし、これは単に企業数が多いからだけではありません。例えば、政令指定都市の中小企業数に占める認定割合を見ると、岡山市(約1.17%)が大阪市(約1.00%)や名古屋市(約0.93%)を上回っており、地域を挙げた取り組みの熱量がうかがえます。
ちなみに、私どもウェルネスドア合同会社の所在地である神奈川県横浜市は、認定数193社で全国9位でした。しかし、中小企業数に対する認定割合は約0.5%に留まります。これは、「まだ多くの企業が着手できていない未開拓市場」であり、今から本格的に取り組むことで、地域内で先進的な企業として認知されるチャンスが大きいことを意味しています。
どの地域においても、健康経営はまだ「ブルーオーシャン(競合の少ない領域)」です。そして、その効果は社内にとどまりません。
当社の従業員向け調査では、勤務先の認定取得に20代・30代の若手層ほど「賛成」の割合が高いという明確なデータが出ています。彼らは給与だけでなく、働きがいやウェルビーイングを重視します。「社員を大切にする文化」を客観的な認定制度で示すことは、優秀な若手を惹きつける強力な武器になります。
健康経営への投資は、「持続可能な経営」を目指す意思表示でもあります。これは、求職者だけでなく、金融機関や取引先からの信頼向上にも繋がります。地域社会において「あの会社は従業員を大事にしている」という評判は、何よりのブランドイメージとなるでしょう。
では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。地域内で一歩リードするための3つのステップをご紹介します。
まずは、自社の立ち位置をデータで確認し、同時に従業員アンケートやストレスチェックで社内の健康課題を「可視化」しましょう。「何となく不調が多そう」ではなく、「我が社は特に生活習慣病リスクとメンタル不調に課題がある」と具体的に把握することが、効果的な施策の第一歩です。
取り組みを社内だけに留めず、積極的に外部へ発信しましょう。採用サイトに特集ページを作ったり、「〇〇市で△社目の認定取得!」といった形でプレスリリースを配信したりすることで、「地域で先進的な取り組みをしている企業」というブランドを構築できます。これは、採用応募者の質の向上に直結します。
当社の調査では、従業員の約半数が健康経営について「よく分からない」と回答しています。制度が形骸化しないよう、社内説明会で目的を共有したり、ウォーキングイベントなどゲーム感覚で参加できる施策を企画したりして、従業員を巻き込み「自分ごと化」を促すことが成功の鍵です。
「自社の課題に合ったプランが知りたい」
「従業員を巻き込む具体的な方法を相談したい」
ウェルネスドアの専門家チームが、データ分析から施策の実行、情報発信まで、貴社だけの最適な健康経営プランを伴走支援します。
【情報源】
・経済産業省 健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定法人一覧」等を基に株式会社帝国データバンクが作成したデータを活用