【離職率改善】ワークエンゲージメントとは?測定ツールで組織の「熱意」を可視化する方法

この記事のポイント

  • 従業員の「熱意」を示すワークエンゲージメントが、なぜ生産性向上や離職率低下に繋がるのかがわかる。
  • 世界標準の学術尺度「UWES」に基づく診断ツールで、従業員やご自身のエンゲージメントレベルを手軽に測定できる。
  • 測定結果を3つのレベルに分け、個人と組織がそれぞれ取り組むべき具体的な改善アクションがわかる。

「最近、指示待ちの社員が増えた気がする…」
「優秀な人材が、なぜか定着しない…」

こうした課題は、単に個人のやる気の問題ではなく、組織全体の**「ワークエンゲージメント」**が低下しているサインかもしれません。本記事では、企業の成長と人材定着の鍵となるワークエンゲージメントについて、その基本から測定、具体的な向上策までを専門家の視点で解説します。

第1章:ワークエンゲージメントとは?

ワークエンゲージメントとは、一言で言えば**「仕事に対するポジティブで充実した心理状態」**のことです。単に仕事に満足している(従業員満足度)だけでなく、仕事から活力を得て、誇りと熱意を持ち、夢中になっている状態を指します。

この状態は、主に以下の3つの要素で構成されていると考えられています。

  • 活力 (Vigor): 仕事から活力を得て、エネルギッシュに取り組んでいる状態。
  • 熱意 (Dedication): 自分の仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組んでいる状態。
  • 没頭 (Absorption): 仕事に夢中になり、時間が経つのを忘れるほど集中している状態。

ワーカホリック(仕事中毒)が「やらなければならない」という強迫観念から働くのに対し、エンゲージメントが高い人は「やりたい」という自発的な動機で仕事に取り組む点が大きな違いです。

第2章:なぜ今、エンゲージメントの測定が重要なのか?

ワークエンゲージメントは、従業員の幸福度だけでなく、企業の業績にも直結する重要な経営指標です。エンゲージメントが高い組織では、以下のような効果が報告されています。

  • 生産性・創造性の向上
  • 顧客満足度の向上
  • 離職率の低下と人材の定着
  • メンタルヘルスの向上

これらの効果を得るためには、まず自社の現状を客観的に把握することが不可欠です。定期的にエンゲージメントを測定し、組織の「健康状態」を可視化することで、的確な対策を講じることが可能になります。

第3章:【実践】あなたのワークエンゲージメントを測定してみよう

以下のツールは、世界中で利用されている学術尺度「ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)」の短縮版に基づいています。ご自身の現状を客観的に把握するために、ぜひお試しください。

ワークエンゲージメント診断ツール

この診断は、世界標準の学術尺度「ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)短縮版」に基づき、あなたの仕事に対するポジティブで充実した心理状態(活力・熱意・没頭)を測定します。

【重要】結果は完全に匿名で処理され、個人が特定されることはありません。率直なご回答が、より良い職場環境づくりの第一歩となります。

過去4週間のご自身の状態について、最も当てはまるものを1つずつ選んでください。

第4章:結果をどう活かすか?レベル別の次の一手

診断お疲れ様でした。エンゲージメントは、個人と組織、双方の働きかけによって向上します。結果のレベル別に、具体的なアクションプランのヒントをご紹介します。

【高スコアの方】

個人:素晴らしい状態です。そのポジティブなエネルギーを、チームの目標達成や後輩の育成に活かすことで、さらなるやりがいを感じられるでしょう。
組織:この層が活躍している理由(仕事の裁量権、良好な人間関係、挑戦機会など)を分析し、組織全体に展開できないか検討しましょう。

【平均スコアの方】

個人:安定した状態ですが、もう一段階成長できるポテンシャルがあります。自身の仕事が社会や顧客にどう貢献しているかを上司と話したり、新たなスキル習得に挑戦したりしてみましょう。
組織:この層は、少しの働きかけでエンゲージメントが大きく向上する可能性があります。成長機会の提供(研修・資格支援)や、経営層からのビジョン共有が有効です。

【低スコアの方】

個人:心のエネルギーが低下しているサインかもしれません。一人で抱え込まず、信頼できる上司や同僚に現状を相談してみましょう。
組織:離職の危険信号です。早急に1on1ミーティングの場を設け、業務負荷や人間関係、キャリアへの不安などをヒアリングし、具体的な対策(負荷軽減、配置転換など)を講じる必要があります。

まとめ:エンゲージメント向上は組織と個人の共同作業

ワークエンゲージメントの測定は、組織の課題を可視化する第一歩に過ぎません。大切なのは、その結果をもとに、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる環境を、組織と個人が一体となって創り上げていくことです。

エンゲージメント向上のための具体的な施策をご検討の方へ

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【監修】
ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学(かりの まなぶ)
エキスパートインサイト 専門家チーム