「食べる量は気をつけているのに、なぜか痩せない…」
「日中になんとなく体がだるく、夜は寝つきが悪い…」
そのお悩み、もしかしたら食事の「中身」だけでなく**「時間」**が関係しているかもしれません。
近年、健康やダイエットの分野で「時間栄養学(じかんえいようがく)」という新しい考え方が大きな注目を集めています。「何を」「どれだけ」食べるかという従来の栄養学に、「いつ」食べるかという視点を加えることで、体のコンディションをより良く整えられることが科学的に分かってきました。
私たちの体には、約24時間周期でリズムを刻む**「体内時計」**が備わっています。この時計は、意識しなくても睡眠と覚醒、体温調節、ホルモン分泌などを自動でコントロールしています。
そして、食事の消化・吸収・代謝といった働きも、この体内時計のリズムに大きく影響されます。つまり、体が「消化モード」の時に食べれば効率よくエネルギーになりますが、「休息モード」の時に食べると、うまく処理できずに脂肪として蓄積されやすくなるのです。
覚えておきたい!夜に増える脂肪蓄積たんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」
体内時計を動かす時計遺伝子の一つに**「BMAL1」**というたんぱく質があります。BMAL1には、**血中の糖や脂肪を体脂肪として蓄積する司令塔の役割**があり、この量は一日の中で大きく変動します。
最も少なくなるのは午後3時頃。そして、夜10時頃から急激に増え始め、深夜2時~4時にピークを迎えます。このため、同じカツ丼を食べても、昼に食べるのと深夜に食べるのとでは、体に与える影響が全く違うのです。
朝の光を浴びることと、朝食を摂ることが、ズレやすい体内時計を毎日リセットする重要なスイッチです。特に、ご飯やパンなどの「糖質」と、卵や魚、納豆などの「たんぱく質」を組み合わせることで、時計の針が正確に合いやすくなります。忙しい朝でも、おにぎりとゆで卵、ヨーグルトなど簡単なもので構いませんので、朝食を抜かない習慣をつけましょう。
BMAL1が増え始める夜の時間帯は、揚げ物や脂っこいものを避け、野菜やきのこ、豆腐といった消化の良いものを中心にするのが鉄則です。どうしても夕食が遅くなる場合は、夕方におにぎりなどを食べておき、帰宅後は具沢山の味噌汁やスープ、温野菜だけにする「分食」も、空腹感を満たしつつ体を守る賢いテクニックです。
例えば朝食を朝7時に食べたら、その日の食事は夜7時までに終える。このように、1日の食事を12時間以内に収めることで、胃腸などの内臓がしっかりと休息する時間を確保できます。内臓の疲れが取れると、翌日の消化吸収能力や代謝機能が高まることが分かっています。「ダラダラ食い」をやめ、食事の時間を意識することから始めてみましょう。
ここまでのポイントを踏まえ、ご自身の食事習慣が体内時計に合っているか、このページの下にある診断ツールで振り返ってみましょう!
今すぐ診断を始めるQ. シフト勤務で食事の時間が不規則です。どうすれば良いですか?
A. シフト勤務の方は体内時計の調整が難しいですが、諦める必要はありません。まずは「勤務シフトの中で“朝食”と見なす食事を決めて必ず摂る」「夜勤明けの食事は消化の良いものにする」など、できる範囲で食事のリズムを作ることが大切です。完璧を目指さず、できることから一つずつ取り入れてみてください。
Q. 食べる時間が重要なら、食べる内容は気にしなくても良い?
A. いいえ、それは誤解です。時間栄養学は、従来の栄養学に「時間」という新しい視点を加えたものです。栄養バランスの取れた食事を基本とした上で、食べるタイミングを工夫することで、より高い健康効果が期待できます。「何を食べるか(栄養学)」と「いつ食べるか(時間栄養学)」は、健康づくりの両輪とお考えください。
「自分の生活スタイルに合った、具体的な食事の摂り方を知りたい」
「従業員の健康のために、時間栄養学のセミナーを実施したい」
ウェルネスドアでは、専門家が一人ひとりのライフスタイルに寄り添い、実践的なアドバイスを提供します。
【免責事項】
本記事および診断ツールは、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果を保証するものではありません。個人の健康状態や病状に応じた食事については、必ずかかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。
【主な情報源】
・厚生労働省 e-ヘルスネット「時間栄養学」
・柴田 重信 (早稲田大学先進理工学部) ほか 関連論文
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